インタビュー

Negiccoの良い曲が支持される時代がようやく巡ってきた……STOP! ネギTIME!

 

ネギTIMEとは何か? 今回のベスト盤に収められた唯一の完全新曲“Party on the PLANET”ではその到来がMCハマー調に宣言されているのだが、それはすなわち、〈良い曲が真っ当に評価される時代〉だと捉えたい。

キッズ・グループだったNegiccoが結成される前後、アクターズ・スクール系の集団が理想像としてSPEEDを念頭に置いていたのは間違いないだろう(Perfumeも同様だ)。その流れと並行しながら今日的なアイドル像をシーンに持ち込んだのが、圧倒的なアンセムを連発しまくったモーニング娘。の成功だった。ディスコやハウスなどの引用も盛んだったこの時期のアイドル音楽はJ-PopがDJプレイの素材になる流行にも繋がっていくが、そうした動きを新潟で推進した一人が〈トキメキハイスクール〉の校長=connieなのである。

Negiccoの諸曲からもわかるように、彼の作風は、例えばつんく♂から小西康陽、広瀬香美に至るまで、広義の90年代J-Popから良質な煌めきをすくい上げたもので、同時に小西らのフィルターを経由して筒美京平らによる往年のシティー&アーバン歌謡感からポスト渋谷系のノリ(中田ヤスタカも同様だ)までも取り込んでいる。昨今のアイドルは改めて楽曲自体の良さが重用視されるようになってきたわけだが、時代の風向きがそう変わるのなら、先述した背景を持つNegiccoの楽曲が世の中で機能するのは当然なのだ。

なお、そうやってJ-Popをカッコ良く提案する流れに先鞭を付けたのは〈申し訳ないと〉主宰の鬼才・ミッツィー申し訳だが、彼の経営するクラブが新潟にThe PLANETとして移転したのも偶然じゃない……と思う。

 

▼関連盤を紹介。

左から、SPEEDのベスト盤『Dear Friends vol.1』(トイズファクトリー)、モーニング娘。のベスト盤『ALL SINGLES COMPLETE~10th ANNIVERSARY~』(zetima)、Perfumeの2006年作『Complete Best』(徳間ジャパン)、ピチカート・ファイヴのベスト盤『PIZZICATO FIVE TYO』(columbia*readymade)、申し訳ナイタズによる2011年のミックスCD『モテキ的音楽のススメ MTK PARTY MIX盤』(ソニー)

 

 

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年02月22日 00:00

更新: 2012年02月22日 00:00

ソース: bounce 341号(2012年2月25日発行号)

文/出嶌孝次

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