アナログフィッシュ 『ESSENTIAL SOUNDS ON THE WILD SIDE. Analogfish: THE BEST & HIBIYA YAON LIVE.』
[ interview ]
時代を射抜く言葉の詰まった傑作『荒野 / On the Wild Side』を発表し、初の日比谷野外音楽堂公演も大成功に終わった2011年のアナログフィッシュ。バンドの結成から10年以上が経ち、途中でメンバーの離脱を経験しながらも、現在の彼らは何度目かの最盛期を迎えていると言っていいだろう。
そんなバンドの歴史を〈彼らの現在〉という視点でまとめたベスト盤と、上述の日比谷野音公演が収められたライヴ盤による2枚組『ESSENTIAL SOUNDS ON THE WILD SIDE. Analogfish: THE BEST & HIBIYA YAON LIVE.』のリリースにあたり、今回はバンドの過去・現在・未来について、3人にじっくりと語ってもらった。本作で一人でも多くの人がアナログフィッシュを知り、『荒野 / On the Wild Side』というアルバムにも出会ってもらえますように。
どんどん更新できてる
――もう4か月以上経ちましたが、昨年の10月10日に行われた日比谷野音のライヴは本当に素晴らしかったです。
下岡晃(ヴォーカル/ギター)「今年に入ってもう何本かライヴをやってるんですけど、あの日からライヴの感じが変わったと思ってて。今年のライヴもすごくいいんですよ。どんどん更新できてる気がして」
佐々木健太郎(ヴォーカル/ベース)「2011年は野音に向けて3人で準備して、ああいう大成功の形で終えることができたので、自信には繋がったと思います」
――新しい方法を試しながらやってきたなかで、あの日に一つ固まったという感じでしょうか?
下岡「そういうのもあるし、言葉にある程度重点を置くことで場の空気を持っていく感じがわかったというか、自分のなかに定着したというか」
――『荒野 / On the Wild Side』というアルバム自体、言葉の強度が際立つ作品でしたもんね。斉藤さんは野音いかがでしたか?
斉藤州一郎(ドラムス) 「あの日は昼間にフリー・ライヴをやったんですけど、すっげえ緊張したんですよ(笑)。でも、そのおかげで夜の本編は肝が据わった状態でやれました」
――お客さんへのサービスであり、自分たちが感触を確かめる場にもなったと。
斉藤「結果そうでしたね。お膳立てはもう全部済んでるから、あとはここに行って、こうして、こうやって、戻ってくるだけ、みたいな(笑)。(下岡と佐々木は)2人ともやる前にすごい士気を高めてたけど、僕はそれを後ろから見て、〈わかりました! 乗っかります!〉って感じで、楽でした(笑)」
――佐々木さんも、やっぱり緊張感はありました?
佐々木「それまでのライヴとは比べものにならないくらい緊張感はあったけど、やってみたら何も気にならなかったっていうか、ホントに思い通りのステージが気持ち良くできました
下岡「すごく集中してできました。緊張してガチガチって感じは全然なくて、よく周りが見えてましたね」
――僕があの日のライヴを見て思ったのは、〈R.E.M.みたいだな〉ってことなんですよね。すごくエナジーがあったし、ロマンティックでもあったし、あと見た目でも、ハンドマイクで歌う下岡さんがマイケル・スタイプみたいだったし。そう考えると、佐々木さんのジャンプはピーター・バックだな、とか(笑)。
下岡「嬉しい(笑)」
――それをTwitterで呟いたら、〈僕はU2だと思った〉とか、どんどん広がってました。
下岡「そういうバンドの名前が出てくるのは単純に嬉しいです。最近聴いてるブルックリン周りの人たちの名前が出るよりは、そういうバンドが出てくれたほうが嬉しいっていうのはある」
――R.E.M.にしろ、U2にしろ、言葉に力のある人たちだからこそ、名前が出てきたんだと思います。
下岡「だったらホント嬉しいですね」
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