INTERVIEW(3)――まだ3人でやってないこと
まだ3人でやってないこと
――本作には新曲も収められていて、もっとも新しい曲が“Na NaNa”ですよね。
佐々木「この曲は晃の曲を僕が歌うっていう初の試みをしてて、そういうことができるようになったのはバンドとしてすごくいいなって思うので、これから楽しくなりそうですね」
――2人のソングライターがいて、相手の曲を歌うっていうのは完全に初めてですもんね。なぜ、いまのタイミングでそういったチャレンジが行われたのでしょう?
下岡「ずっとやろうとは思ってたんですけど、バンドで曲を作ってて、自分が振った曲に対して相手の反応がそれほどでもなかったりすると、そこで1回終わっちゃったりするんですよね。それ以上押しづらいっていうか。そういうこともあってやってなかったんですけど、今年の頭ぐらいから『荒野 / On the Wild Side』の次のことを徐々に考え出したときに、テーマとかコンセプトはこれからちゃんと考えるとして、単純にまだ3人でやってないことは何かなって思ったら、いちばん最初にこれが出てきたんです。それで、今年の目標をこれにしようと思ったときに、アルバムに“Na NaNa”を入れようって話になって、だったら健太郎に歌ってもらおうと。僕が歌ってライヴでやってたんですけど、このドライヴ感は健太郎にピッタリだと思って」
――佐々木さんは実際に下岡さんの曲を歌ってみて、いかがでしたか?
佐々木「全然できると思ったんですけど、身体に入るまで時間がかかって、難しかったですね」
下岡「そこ、意外だったよね。ヴォーカルのリズムが違うんだなっていうのはすごく思いました。彼は単純に声量があって、上手だし、テンポもスクエアに取れるから、カチカチっとしてるけど、俺はウニョウニョって歌っちゃうから(笑)。それも込みで曲を作ってるんだなって思いましたね」
――前野健太さんが参加した“確率の夜、可能性の朝”は去年のイヴェント〈TOWN MEETING〉で披露されてて、お客さんの合唱が入ったヴァージョンが配信限定で発表されてましたね。
下岡「もともとはバンドでやろうと思って作りはじめた曲なんですけど、なんかしっくりこなくて。でもある時期に、大人がみんなで合唱できる曲を作りたいなと思って、そのときに〈あの曲はそういうほうが行き場があるかも〉と思って、そっちに向けて作ったんです」
――そして、今回はそのニュー・ヴァージョンが収録されていると。
下岡「レコーディングが1月の末ぐらいだったんですけど、一週間前になってもアレンジが出来てなくて、ツアーにPCを持って行って、ライヴ後のホテルでフレーズを作ったりしてたんで、思い入れはありますね。サウンド的に『荒野 / On the wild side』以降って感じで、自分でも聴くのが好きな曲になりました」
――僕はこの曲を聴いてブラーの“Tender”を思い出しました。
下岡「それは大当たり(笑)。いま、ブラーみたいな感じがいいなと思ってて。昔は曲に動きがないと思ってたんですけど、改めて聴いたら動きがあるなって思ったんですよね」
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