『A.C.E.』と共鳴する銀盤を堂島クンがピックアップ!
人から言われて気がついたんですけど、スクイーズとかは近い感じですね。ポスト・パンクとかニューウェイヴって、内容云々よりも自分たちがいまこういうことをやってるんだ!っていう気持ちが強く伝わってくるし、そういう時代の音楽だと思うんですね。成熟よりも〈青さ〉で勝負しているところがある感じだし、それをどうやってポップに聴かせるかっていう音楽の在り方は瑞々しいですよね。そのなかでも、人を喜ばせてやろうとか女の子にキャーキャー言われたいっていうような意識の強いスクイーズの感覚がわりと近いと思うんです。エルヴィス・コステロなんかもそうかな。当時のことはよく知らないですけど、そこらへんの人たちのなかで彼は勝ち組ですよね。パブ・ロック周辺ということで言えば……これはドラムの小松クンが言ってたんですけど、イアン・デューリー。悪ふざけの感じとか野蛮な感じとか、たしかに通じるものはあります。あと、『A.C.E.』でズバリなことをやってるわけではないですけど、キッド・クレオールとかファンカラティーナ的なもの──ロックなんだけどムーディーで陽気な感じは、次の作品あたりでもっと顕著になるかもしれないですね。最近のものだと、ノルウェーのシンガー・ソングライター、ソンドレ・ラルケ。ルーツを啓蒙しつつも、再構築していまの音にしているとか、異様にドラムの音がデカいとか、必要以上のフレージングを入れないとか、アレンジ面でシンパシーを感じます」(談)
▼関連盤を紹介。
左から、スクイーズの79年作『Cool For Cats』(A&M)、エルヴィス・コステロの89年作『Spike』(Warner Bros.)、イアン・デューリーの77年作『New Boots and Panties!!』(Stiff)、キッド・クレオール&ザ・ココナッツの82年作『Tropical Gangsters』(Island)、ソンドレ・ラルケの2009年作『Heartbeat Radio』(Decca)
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