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インタビュー

エレクトロニカ/ポスト・ロック・シーンの目利きレーベル、Novel Soundsとは?



アーティスト自身が確かな審美眼を持って運営するレーベルが増殖中の昨今だが、今回usを見い出したNovel Soundsもその一つだ。活動の中心は、広島と東京。後者では、3作品を同レーベルから発表しているフォークトロニカ・ユニット、swimmingpoo1や2011年に初作をリリースしたシューゲイザー・バンド、Bertoiaのメンバーである根岸たくみが代表代行を務めている。

〈商品ではなく作品を発表していく〉という身上は、2007年に送り出された設立5周年記念のコンピ盤ですでに確認できる。エレクトロニカやポスト・ロックを基盤にベッドルーム仕様の歌モノからフロア重視のダンス・トラックまで幅広く展開しているが、すべてに共通して言えるのは、独特の美意識を持った音響処理だ。なかでもノイズと壮麗な電子オーケストレーションで退廃的な音世界を構築したmatryoshkaは、2007作『zatracenie』がロング・ヒット。2年後にはworld's end girlfriendやTujiko Noriko、ゴールドムンドなど国内外の電子音楽家が参加したリミックス集も制作されている。

近年のフィジカル・リリースは、陰りあるミニマル・アンビエントを漂わせるジョアン・カンボンや、揺らぎと轟音の狭間を幻想的に描くspeaker gain teardrop。さらにはアートワークとの相乗効果でスピリチュアルな歌世界を紡ぐCalmloopや、半野善弘のcurrentからデビューした高西知泰ことFlower Triangleの5年ぶりとなる最新作(有機的で詩的なエレクトロニカ名盤!)が続く。リミックスやマスタリングにkashiwa daisukeやAmetsub、テイラー・デュプリーを起用するなど、ここでも〈目利き〉のセットアップが光っている。

〈音〉をいかに美しく、そして新しく〈響〉かせるか。レーベルのこだわりを投影した最新のラインナップが、すなわちusとなるのだろう。



▼関連盤を紹介。

左から、swimmingpoo1の2010年作『how to enjoy swimming』、Bertoiaの2011年作『MODERN SYNTHESIS』、2007年のコンピ盤『Novel Sounds 5th Anniversary Compilation』、matryoshkaの2007年作『zatracenie』、Calmloopの2011年作『From between the clouds EP』、Flower Triangleの2011年作『march』(すべてNovel Sounds)

 

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2012年03月21日 00:00

更新: 2012年03月21日 00:00

ソース: bounce 342号(2012年3月25日発行)

文/土田真弓

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