D.O.T.に至るまでのマイク・スキナーの歩み
ストリーツを名乗るマイク・スキナーが“Has It Come To This?”でデビューしたのは2001年。ゼッド・バイアスのリミックスも話題になった同曲の雰囲気からもわかるように、彼は当時のUKガラージの隆盛に乗って登場してきたラッパーである。『Original Pirate Material』という初作のタイトルにもそのスタンスは顕著だが、そこで綴られていた〈中産階級の冴えない日常譚〉を強調した2作目『A Grand Don't Come For Free』(2004年)は彼に一段階上の成功をもたらした。そこからは“Dry Your Eyes”がチャートを制し、アルバムも全英1位をマーク。一躍トップスターの仲間入りを果たした。
そんな狂騒の日々をボヤくかのようにパーソナルな色合いを強めたのが『The Hardest Way To Make An Easy Living』(2006年)で、“When You Wasn't Famous”ではガールズ・アラウドのシェリルと起こしたドラッグ騒動について彼なりの弁明(?)を挿入している。前後して自主レーベル=ビーツにも力を入れはじめ、2008年の『Everything Is Borrowed』以降はミューズやギグズなど外部制作/客演も展開していった。そのビーツでイグザンプルやプロフェッサー・グリーンらを見い出して現行UKラップの活況を導いた功績も忘れてはならない。そして2011年、ミックステープ『Cyberspace And Reds』と、その対になる『Computers And Blues』の発表を以てストリーツの活動を終了。最終作で3曲に客演していたのがロブ・ハーヴェイであった。
▼関連盤を紹介。
左から、ストリーツの2002年作『Original Pirate Material』、2004年作『A Grand Don't Come For Free』、2006年作『The Hardest Way To Make An Easy Living』、2008年作『Everything Is Borrowed』(すべてLocked On/679/Warner UK)、2011年作『Computers And Blues』(679/Warner UK)、ギグスの2010年作『Let Em Ave It』(SN1 /XL)
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