INTERVIEW(3)―ソロになって孤独を知り、みんなへの感謝の気持ちが生まれた
ソロになって孤独を知り、みんなへの感謝の気持ちが生まれた
―曲の世界観をより広げるために一切妥協はせず、手作業で作られたブックレットのアートワークも凄いですね!
「1個、1個、絵を切って貼りました。すごく大変でしたけど、デジタルな時代にあえてアナログな方法でみんなと一緒に作ることで集まったプラスのパワーが伝わるんじゃないかと思っています」
―特にこだわった部分は?
「思い描いたストーリーを歌詞だけでは伝えられないんです。伝えられない部分を画のなかに込めたりとか、隠しワード的に入れたりしています。例えば“星の狂想曲”は悪い女性を描いているので、男の人は鳥の羽だけど、女の人は虫の羽になっています。言わなければ分からない世界なんですが、そういう遊び心をいっぱい散りばめることで宝探しが音楽的にもビジュアル的にもできて、皆さんに何重にも楽しんで頂けるようにしました」
―“Hello! Mr. Sadness”のアートワークはファンの方から募集した言葉を使って制作されていますが、ファン参加型のプロジェクトは前々から考えていたのでしょうか?
「ライブやイベントってスケジュールや場所の問題で色々と限られるじゃないですか。そういうの問題を抜きにして何か一緒に作れたら幸せだなと思って。そこで官製はがきが思い浮かんだんです。官製はがきは日本全国から送れるし、2~3日で届くので比較的みんな参加しやすいかもしれない。でも、本当に時間が無くてどうしようか悩みました。だけど何もやらないよりはまずやってみて、何か生まれるものもあるだろうと思ってファンのから募集することにしました」
―このハガキは実際に色づけをされたんですか?
「はい。実際頂いたハガキが本当に素敵な言葉ばかりだったんです。小さな子どもがくれた可愛い希望の話しだったり、切実な希望の話しもありました。それを全部読んでから、色を塗ってカタチにしていきました」
―実際どれくらいの時間がかかりましたか?
「大勢のスタッフに手伝ってもらって2日間かかりました」
―2日間で出来たんですか!?
「もうこれは……本当に大変でした。全てホッチキスで留めているんですが、おそらく1万針は使っているんじゃないかな」
―1万針!?
「凄かったですよ!ホッチキスの箱の山が(笑)」
―人生でホッチキスを1万針使うことってないですよね。
「もう一生分使いましたね。でも大変だった分、この作品のパワーが凄いんですよ」
―たしかに実際、手に取って見ているとすごく伝わってくるものがあります。
「ずっと一人でレコーディングや制作をしていると、孤独感に駆られることが多かったので、ソロになって孤独を知り、最後にこの<希望の花>を作り上げたことで、みんなへの感謝の気持ちが生まれました」
―希望の象徴として花を選んだ理由を教えて頂けますか?
「歌詞の世界とリンクしていたし、僕にとって花は希望の象徴であり、末来の象徴なんです。昔から自分のなかで、何をするにしても種を蒔かなきゃ花は咲かないっていう感覚がずっとありました。今回カタチにした希望の花も、アイディアは浮かんだけれど、<時間がないから>とか<無理だ>と思って種を蒔かなかったら出来なかった話で、まず、何か行動を起こさない限り、咲くものも咲かないと思います」
―なるほど。もう最初から頭のなかにあったんですね。
「ありましたが、こんなにキレイになるとは思っていませんでした。どう作ろうかなんて全く考えていなかったので。送ってくれたファンの皆さんの言葉と僕がセッションするように、その場その場でアレンジしました。多分、ホッチキスで工作したら日本のなかで良い所までいける自信があります!!」
―(笑)。親指がかなり鍛えられた感じですね。
「そう。筋肉痛だったんですよ親指が。ホッチキス筋がかなり付きました(笑)」
―では最後に6/15(土)から大阪を皮切りにツアーがスタートしますが、ライブへの意気込みをお願いします。
「このアルバムを作って今日までの自分は出し切れました。だから、ライブではこの作品をさらに成長させたいと思っています。初めてのソロライブなので、僕自身ものすごく緊張しています。もしかしたらファンの方も緊張しているかもしれません。ライブならではのアレンジや、サポートしてくれるミュージシャンたちとたくさんの音の仕掛けを散りばめつつ、いい意味で期待を裏切って笑顔で帰ってもらえるようなライブにしたいです」
■Album……『Amber』 now on sale!
SONG LIST
01. 涙の河
02. 愛しのヴァルキュリア
03. 星の狂想曲
04. 黒猫のTango
05. 桜雨
06. サーカス
07. LION
08. マリア
09. 蜘蛛の糸
10. ダッシュ
11. Hello! Mr. Sadness
[bonus track] 星の王子さま(※通常盤のみ)
[特典DVD](※初回限定盤のみ)
・“星の狂想曲”Music Clip
・アルバム『Amber』の完成までを追ったドキュメント映像
■Live…AKIHIDE 1st Live Tour 2013 "Amber"
6/15(土)大阪府 amHALL
6/16(日)宮城県 仙台HooK
6/20(木)愛知県 名古屋Electric Lady Land
6/25(火)東京都 LIQUIDROOM ebisu
6/28(金)北海道 札幌KRAPS HALL
6/30(日)福岡県 福岡イムズホール
7/5(金)東京都 赤坂BLITZ
7/7(日)愛知県 名古屋Electric Lady Land
■PROFILE…AKIHIDE
BREAKERZのギタリストとして活動する傍ら、イラスト、言葉、サウンドなど様々な表現で自身の世界観を表現する希有なアーティスト。2013年4月よりソロ活動もスタート。フリーマガジン<tower+>で[ココロをさがして]を連載中。
記事内容:TOWER+ 2013/6/10号より掲載