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インタビュー

森田修平(映画SHORT PEACE 『九十九』監督)

テーマは日本。
世界が注目するトップクリエーターたちの“奇跡の響宴”

『スチームボーイ』(2004年)から9年、大友克洋が久々に新作アニメーションを世に問うことで話題を集める『SHORT PEACE』だが、4編の作品から成る同作の魅力は、“ジャパニメーション”なる言葉の生みの親ともいうべき巨匠の呼びかけに応じた、他の若手の気鋭たちによる3編のアニメーションがそれぞれに放つ独自の魅力にもある。

なかでも、本編のトップを飾る『九十九』を手がけ、監督陣の最年少でもある森田修平は、大友がキャラクター&メカニックデザインを手がけた、日清カップヌードルのCMとそこから派生したOVA、『FREEDOM』(2006〜08年)で監督を務め、CG時代の先端を走る存在として注目を集める作家である。

「ちょうど僕らの世代って、マッキントッシュG3が大学2年の時に出たんです。それが、個人で3Dの映像も作れるようになったマシンなんです。そういうのは、それ以前にはなかったので、僕らは、それができるようになった最初の世代だったと思います。CGを導入したり、CGと実写を合成したり、個人でもけっこうできるようになった。京都造形芸術大学を卒業したのが2001年なので、1999年頃にG3を大学で最初に買ったのが、たぶん僕だったんです。

高校の頃は、ベタですけど、『ブレードランナー』とかが本当に好きで、大友さんの『AKIRA』や宮崎駿さんも入ってくるのですが、ファンタジーとかSFとか、世界観というか、世界を一から構築していくのが好きでしたね。当時は実写映画のほうが好きだったので、将来、そういう仕事に関われたらいいなあ……と。でも、大学に入ってみると、これからの時代はパソコンのはずなのに、何もない、という状態でした(笑)。機器もないし、教えてくれる人もいない。なんか思っていた姿と違うなあ、と思えて、1年生の時はふて腐れ、学校に行かず、単位も落とし(笑)。でも、そこで必死になってアルバイトでフォトショップを使えるところを探したり、映像関係の仕事を探したりして、その後の仕事につながったし、大学を否定するつもりはないです(笑)。実写のSFだと、ハリウッドに勝つものを作るなんて難しく思えたけど、アニメなら、それを上回る世界を作っている人がいるじゃないですか。大友さんしかり、宮崎さんしかり。特に大友さんは、見た瞬間からハマりました。とにかく、世界を構築することに興味があった。でも今は方向性が変わってきています。結果的に、ストーリーを作ったり、人を描いたりする方向に変わってきました」

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カテゴリ : インタヴュー

掲載: 2013年07月18日 12:08

ソース: intoxicate vol.104(2013年6月20日発行号)

interview & text : 北小路隆志