こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

INTERVIEW with 村井研次郎 & 武井誠(2)——なぜこういうアルバムになったのかわからない



なぜこういうアルバムになったのかわからない



――今回のアルバム『11』ですが、出来上がったものを聴いてみていかがでした?

村井「全体がこんな曲調で、っていうのは特にないじゃないですか。だから『11』はどんなアルバム?って訊かれても、すっごい答えづらいんですよね」

――では、こういう曲は予想してなかったな、とか、意外だったな、とかは?

村井「シングルになった“暗中浪漫”ですかね。まあ秀仁くんが歌っちゃえばcali≠gariになるんですけど、ここまでキャッチーな曲調は珍しいかなと。でも2、3回聴いたら〈あ、やっぱcali≠gariだな〉って。そのぐらいの感じですね」

――誠さんは?

武井「ううーん、いま研次郎くんが言ってたけど“暗中浪漫”とか。コード進行とかもシンプルでわかりやすいなっていう印象が最初はあって。でもそのへんは、なんかのインタヴューで読んだんですけども、要は〈これシングルっぽいのにアルバムにだけ入ってる〉みたいなことが狙いだったみたいで」

――bounceのインタヴューでもおっしゃってましたね。

武井「それがシングルになっちゃったから意図したことと変わっちゃったけど、みたいなことを言ってて、〈ああなるほど、そういう意図で作ってたんだな〉って」

村井「そういう意図を、本人から直接聞かないで別な媒体を通して知るのが誠くんなんですよね」

武井「(爆笑)」

村井「誠くんはいっつもそうなんですよね。こういうのって本来だったらメンバー同士で話して進むことじゃないですか。あのメンバーはそういうふうに思ってたんだ、っていうのをね、雑誌とかネットのインタヴューを読んであとから知りますね。こっ恥ずかしいんですかね? どうですかね」

――かと言って、インタヴューを読んだよ、とは言わないんですよね(笑)?

村井「誠くんはよく言いますよ。〈あのインタヴュー、読みましたよ〉って(笑)。逆に僕は、ちょっとドキドキしちゃうから、他のメンバーの個別インタヴューとか読まないんですよ。悪く言われてることはたぶんないと思うんですけど、良く言われても恥ずかしいから」

武井「けっこうやだよね、個別インタヴューって。しゃべってるニュアンスって、文面にするとちょっと違うじゃないですか。だから変なふうに捉えられたらいやだな、みたいな」

村井「だから4人でインタヴューするよりは、個別のほうがわりと本音は出ますよね。そういうもんなんでしょうけどね。なぜこういう曲順なのか、なぜこういう曲が仕上がったのかは、本人からは聞けないんですよ。こういうインタヴューの方を通して、あとから知るっていう」

――では今回も、なぜこういう曲順になったかっていうのは……。

村井「これから考える感じですね。誠くんがそのうち青さんか秀仁くんのインタヴューを読んでくれて、そこからジャッジするんですよ」

――ははは(笑)。

村井「俺はだって、わかんないですもん。なぜこの曲順になったかは」

武井「俺、けっこうbounce見てますから(笑)」

――ありがとうございます(笑)。では誠さんが内容を、研次郎さんにお伝えして。

村井「俺は誠くんに訊けば、大体cali≠gariのこと知れるんで。誠くん、cali≠gariのことにはけっこう詳しいですからね」



デモテープを壊すイメージ



――(笑)では私からひとつお伝えすると、石井さんがおっしゃってたのは、研次郎さんがベースを入れる時は、いつもマックスのフレーズを入れて、そこから引いていくと。

村井「あ、そうですね。いっつもそうです」

――それが研次郎さんのスタイルなんですか?

村井「うーん、基本的にデモテープを壊すイメージというか。デモってシンプルなんで、それをぶち壊す感じでハチャメチャにバーッと弾いて。でも、任せられてるとはいえ悩むこともあるんで、セイフティー・トラックも作っておくんですよ。要は、〈これどうしても弾きすぎな場合はこっちと入れ替えといてね〉っていう安全な〈ヴァージョン2〉も入れといたりするんです。曲って1番2番ってあるじゃないですか。だから、1番はシンプルに弾いたら2番はイケイケで弾いたり、3番のAメロはさらにイケイケに弾いたり。そこで3ヴァージョン出来てるんで、もし嫌だったらこのなかから入れ換えてくれとか。いまは便利な時代なんで、そうやって、いろんなパターンができる状態でベースを提示することはありますね」

――選択肢をいくつか提示するっていう。

村井「そうそう。全部激しいのだと元に戻れないんで、一応シンプルなのも、歌を邪魔にしないようなのも用意しつつ、ちょっと歌に入り込むようなのも弾いたり」

――“すべてが狂ってる”とかは、けっこうネタを入れていこうとか?

村井「あれも青さんが、TDの時に初めてベースを聴いたんじゃないですかね? 〈何これ!?〉って言ってましたけどね。でも〈何これ!?〉って言ってもらうために弾いてるから(笑)、ネタを入れないと」

武井「どういうニュアンスで〈何これ!?〉だったの?」

村井「例えばMCハマー風のフレーズを入れたりすると、〈ハマーじゃなぁーい!〉とか言うわけですよ。まあ、こういう作り方している以上、そういうビックリ箱を用意しとかないとね、つまんないじゃないですか。トラックダウンの時に初めて聴くって以上、驚かしたい。〈うわぁ!〉みたいな。〈なんだこのハチャメチャなベースは〉って」

――しかもMCハマーっていう。

村井「MCハマーとか、あとcali≠gariの曲入れたりとか。それは楽しいですね。誰もいないところでベース弾いてるんで」

――そういう遊びは他の曲でも?

村井「大概の曲はそういう遊びばっかり。家でニヤニヤしながら録ってます(笑)。青さんの前で弾いた曲も1曲ぐらいはあったような気がするけど、ちょっと覚えてないですね」



桜井を引き立たせるプロデュース能力



――ちなみに、いまここにいらっしゃらない青さんと石井さんについて、復活前後で変わったな、と思うところはありますか?

村井「秀仁くんは全然変わったんじゃないですかね。青さんをコントロールするスキルがもう、100倍以上は上がってますよ」

――そういうスキルですか(笑)。

村井「青さんを引き立たせるプロデュース能力はもう、全然違うんじゃないですかね。それがあるから再結成がうまくいったっていうか」

武井「そうですね。視野が広いのかな? 青さんだけに限らず、さっき言ってた“暗中浪漫”を作った時の理由付けとか、あと〈なんでいまこんな髪型してんだ?〉とか、衣装にしてもタイミングを考えてやってるんだなっていうのは、話を聞くと納得できるし、賛同できる。そういうところがすごいなーって思いますね」

村井「青写真がもう、完璧に描けてるんですよね。洒落じゃなく、青の青写真を描いてるんですよ、ホントに(笑)。こうやったら青さんが引き立つっていうのを全部心得てて、楽曲にしても、歌詞にしても、歌の構成にしても、あとライヴの衣装とか……秀仁くんは僕の衣装にもいろいろコメントしてくれて。〈研次郎くんはこうしたほうが絶対格好良いですよ〉とか、全部描けてるんですよね」

――それはプロデューサーっぽいですね。

武井「ああ、そうですね」

村井「完璧だよね。2002年の時と比べると、そこはもうスキルアップというか、むしろ別人のようですよ。昔は秀仁くんの持ってくるものと青さんのアレがちょっとね、軋轢じゃないですけど、青さん自身が混沌としてしまった時期があったんですけどね」

武井「あとさらにすごいなって思うのは、例えば自分がこれをやりたいっていうのではなく……なんて言うのかな? やりたいことは当然いろいろあるんだろうけど、そのうちの一個をいま、このタイミングでやったらおもしろいんじゃないかとか、冷静に客観視して決めてる感じがするんですよね。俺はけっこう〈なんでこれはこうなんですか?〉とか訊くんですけど、そうすると、その時は理解不能だったりしても、ちょっと経つと〈あっ、なるほど。あの時のあれは正解だったわ〉って思えるっていうか、なんかいろいろ見越して考えてるなっていう。マンセーしてますね(笑)」

村井「マンセーしまくりだね(笑)」


カテゴリ : .com FLASH!

掲載: 2012年01月11日 18:01

更新: 2012年01月11日 18:01

インタヴュー・文/土田真弓

店舗イベント