グリュミオー、シュタルケルが信頼したピアニスト~ジェルジ・シェベックの貴重なリサイタル録音が初CD化!
1956年のいわゆる「ハンガリー動乱」は、ハンガリーの演奏家たちが自由な演奏活動を求めて西側に逃れるきっかけとなりました。ピアニストのジョルジュ・シフラと指揮者のイシュトヴァン・ケルテスの亡命はよく知られていますし、1957年にはハンガリーからの亡命音楽家たちによってフィルハーモニア・フンガリカがウィーンで結成されました。そして、当CDのジェルジ・シェベックも「ハンガリー動乱」を機にフランスへ亡命したピアニストです。
亡命直後に仏エラートにLPレコード10枚分ほどの録音を行い、『リスト:ピアノ作品集』(Erato LDE 3067:廃盤)は1958年のディスク・グランプリを受賞しました。また、バリトンのカミーユ・モラーヌ、チェロのヤーノシュ・シュタルケル、ヴァイオリンのアルテュール・グリュミオーといった錚々たる大芸術家と長くコンビを組んで演奏・録音を行いました。また、シュタルケルの仲介によってアメリカのインディアナ大学の教授となり、多くのピアニストを育成しました。
この録音はシェベック晩年のリサイタル録音で、今回初めてCD発売されるものです。晩年のソロ録音はほとんど残っていないだけに、実に貴重な音源と言えるものです。ロマン派風に編曲されたバッハと、ヘンデル、ハイドンを組み合わせたプログラムを、年輪を重ね、巨匠となったシェベックがどのように弾いているのか、期待が高まります。
(タワーレコード)
【参考】シェベックの肖像写真を使用したLPジャケット
ジェルジ・シェベック(1922-1999)はハンガリー出身のアメリカのピアニスト。14歳でフリッチャイの指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を演奏し、コダーイやヴェイネルに師事しました。1956年にパリへ亡命、アメリカに移りインディアナ大学教授となりました。日本にも練木繁夫、廻由美子、青木美樹など多くの弟子がいて「シェボック先生」という表記で親しまれています。チェロのシュタルケルの伴奏者としても有名でした。
シェベクは教授活動に忙しく演奏家としてはあまり知られていませんが、実演を聴いた人々は「音楽史上最も偉大なピアニスト」と激賞しています。それを実証するのが当ディスク。シェベク69歳の1991年にフランスで行われたコンサートのライヴで初出音源。バッハとハイドンが中心で、テクニックの冴えはもちろんながら深く哲学的な内容に惹きつけられます。ピアノ音楽ファン必見です。
(キングインターナショナル)
【曲目】
J.S.バッハ(ブラームス編):シャコンヌ(左手のための)
ハイドン:アンダンテと変奏曲Hob.ⅩⅦ:6
ハイドン:ピアノ・ソナタ第48番ハ長調Hob.ⅩⅥ:35
J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガBWV903
J.S.バッハ(リスト編):前奏曲とフーガイ短調BWV543
J.S.バッハ(ブゾーニ編):トッカータ、アダージョとフーガハ長調BWV564
ヘンデル:シャコンヌト長調HWV.435
J.S.バッハ:平均律クラヴィア曲集第1巻~前奏曲第1番ハ長調BWV846
【演奏】
ジェルジ・シェベック(ピアノ)
【録音】
1991年/グランジュ・ドゥ・メレ(フランス)(ライヴ)
カテゴリ : ニューリリース
掲載: 2017年06月16日 00:00