『激ロック』スペシャルコーナー【8月レコメンドアイテム】
AT THE GATES / 『The Nightmare Of Being』
GENRE:MELODIC DEATH METAL
ダーク且つプログレッシヴに深化したメロデスのオリジネーターの最新作!
AT THE GATESの再始動後第3弾は、これまでも時折見せていたダークでメランコリックな作風へと本格的に舵を切ったアルバムとなった。彼ららしい高速なメロデス・サウンドもあるが、キャッチーで攻撃的というよりは、複雑に渦巻く情念が具現化されたかのよう。ホーンを交えたTrack.4、ジャジーなセクションも組み込まれたTrack.6、ハンマー・ビートに“語り”を乗せたTrack.9など、要所でアヴァンギャルド且つ退廃的な雰囲気を醸成し、ごく初期の破天荒なそれとはまた異なる、深みを増したプログレッシヴな展開を奏でている。大胆な変化を見せつつ、どこを切っても彼らにしか成し得ないサウンドに仕上がっているのはさすがだ。なお国内盤には、KING CRIMSONのカバーなどのライヴ音源を収録。
菅谷 透【ライター推薦】
CHUNK! NO, CAPTAIN CHUNK! / 『Gone Are The Good Days』
GENRE:POP PUNK, EASYCORE
ブレないイージーコア・スタイルを貫くC!NCC! 約6年ぶりニュー・アルバム!
フランスのポップ・パンク・バンド CHUNK! NO, CAPTAIN CHUNK!が、2015年リリースの3rdアルバム以来実に6年ぶりとなるアルバムをリリース! ここ日本でも安定したファン・ベースを築いている彼らが放つ新作は、まさしくC!NCC!らしい王道なポップ・パンクの中に、ハードコア・パートのギャップが際立った、最高にテンションの上がるアルバムとなっている。どこを切ってもキャッチーで、全曲シングルのようなインパクトがあるベスト・アルバムのような仕上がりだが、この6年間の集大成と思えば、納得の内容だ。出演予定だった大規模なフェスティバルは、パンデミックで中止となってしまったようだが、これからまたライヴ活動も再開していくようなので、来日ツアーにも期待大!
山本 真由【ライター推薦】
DANCE GAVIN DANCE / 『Tree City Sessions 2』
GENRE:POST HARDCORE, SCREEMO
地元サクラメントのタワー・ブリッジで開催した配信ライヴをパッケージ!
激しくも繊細で都会的なDANCE GAVIN DANCEサウンドを堪能せよ!
カリフォルニアはサクラメントのポスト・ハードコア・バンド DANCE GAVIN DANCEが、地元サクラメントの名所タワー・ブリッジを封鎖して行ったストリーミング・ライヴを、パッケージングした今作。配信ライヴというと、スタジオやライヴハウスで行うことが多いだろう。しかし今回は野外で、しかも橋の上という開放的な状況で演奏されているということもあり、夜風を感じるような伸び伸びと広がりのあるサウンドを楽しむことができる。激しくも繊細で都会的な彼らの楽曲にピッタリのロケーションだ。しかも今回のライヴは、ファンの投票によって選曲されているので、新旧織り交ぜたセットリストというだけでなく、ライヴではあまり聴けないレアな楽曲も披露されているなど、コレクターズ・アイテムとしての価値もある。
山本 真由【ライター推薦】
TIMES OF GRACE / 『Songs Of Loss And Separation』
GENRE:METALCORE
Adam Dutkiewicz&Jesse Leach(KILLSWITCH ENGAGE)によるTIMES OF GRACE!
10年の時を経て作り上げた、メタルコアの枠を超えた最新作!
KILLSWITCH ENGAGEの頭脳、Adam Dutkiewicz(Gt)とフロントマンであるJesse Leachによるサイド・プロジェクトが、およそ10年ぶりとなる新作をリリース。当時は、バンドを脱退していたJesseと再びコラボレーションすることに驚きを感じたものだが、その後Jesseが復帰して再び共に活動するようになった彼らが、10年の時を経て生み出したのはどのようなサウンドとなったのか。ここで鳴らされるヘヴィネスは深遠な響きすら感じさせ、独特の悲哀があり、壮大な世界観を内包したドラマチックな美は前作以上に強調されている印象だ。JesseとAdamのツイン・ヴォーカルも効果的で、哀愁の旋律はメタルコアという枠内を超えた感動を聴き手に与えるだろう。
井上 光一【ライター推薦】
TILIAN / 『Factory Reset』
GENRE:POP ROCK
DANCE GAVIN DANCEのヴォーカリスト、TILIAN
緩急ある幅広い表現に踏み込んだ、ファン必聴のソロ・アルバムをリリース!
DANCE GAVIN DANCEのヴォーカリストとしても活躍するTilian Pearsonが、4作目となるソロ・アルバムをリリースした。DANCE GAVIN DANCEとは異なる、ポップなアプローチに振り切った彼のソロ活動の中でも、さらに多彩な表現に踏み込んだ今作。シンセ・ポップの軽快さや、エレクトロ・ミュージックの煌びやかな響きはメインとしてありながら、しっかりとギターの効いたバンド・サウンドで聴かせる楽曲もあり、アルバムを通して緩急のある作品となった。もちろん、聴かせどころである特徴的なヴォーカルはきちんとフィーチャーされており、ポップでメロディックな楽曲も、ムードがあってダンサブルな楽曲も、歌が際立つようになっているのでTILIANファンは必聴だ。
山本 真由【ライター推薦】
Yngwie Malmsteen / 『Parabellum』
GENRE:HEAVY METAL, NEO-CLASSICAL METAL
Yngwie Malmsteenの速弾きスキル炸裂!
全曲オリジナルで“らしさ”が詰まった原点回帰の作品をドロップ!
自身のルーツである、ブルースにフォーカスしたカバー曲中心の前作『Blue Lightning』(2019年)を経て、再び全曲オリジナルで構成されたインギーことYngwie Malmsteenの新作である。ドラム以外の楽器をすべてYngwie本人が手掛け、リード・ヴォーカルも担うという、ここ数年続いているスタイルは健在で、まさにYngwieのひとり舞台といった様相を呈している。インスト曲が6曲、4曲がヴォーカル入りで全編彼の個性が詰まった速弾きスキルが炸裂しており、「パガニーニの主題による狂詩曲」をモチーフとしたソロが飛び出すなど、熱心なファンであれば楽しめる内容であろう。原点回帰と言える“らしさ”の詰まった作品ゆえに、サウンド・プロダクションの悪さは残念のひと言。
井上 光一【ライター推薦】
【激ロック】
ラウドミュージックに特化したフリーマガジン、ポータルサイトの運営、そして国内外のバンドを招聘してのライブイベント、13年間続くROCK DJパーティーの企画、運営を行っている。さらには渋谷宇田川町に位置する「Music Bar ROCKAHOLIC」と同じく宇田川町にあるロックファッション・ショップ&通販サイト「GEKIROCK CLOTHING」の運営など、クロスメディアを超えたクロスカルチャー展開をシーンに仕掛けるラウドミュージック専門のクリエイティブ集団である。
タグ : PUNK/EMO ハードロック/ヘヴィメタル(HR/HM)
掲載: 2021年08月25日 17:19