インタビュー

Jon Spencer Blues Explosion(3)

3人揃ってJSBX!

また本作はNY録音だが、コンソールはロンドンのオリンピック・スタジオで使用されていたもので、それはローリング・ストーンズやスモール・フェイセズ、レッド・ツェッペリンなどが使ったものだという。そこであえてジョンに、ヴィンテージの録音機材や楽器を買い集めてレコーディングに使用しているレニー・クラヴィッツに対する感想を求めてみた。

「レニー・クラヴィッツはジョークだ。でも、僕らは違う。大半のミュージシャンは過去の奴隷というか、過去にとらわれ過ぎている。過去の音楽と同じものを作ろうとする行為は、時間の無駄としか思えない」

 前述したように本作は、黒人音楽から生まれたロックンロールに直結しているアルバムだ。その意味でJSBXはサン(55年に設立され、黒人R&Bの感覚を体現した希代の白人ロックンローラーであるエルヴィス・プレスリーを輩出したレーベル)の、いわば直系的ロックンロール・バンドである。そういった観点から見れば、彼らこそが、昨年リリースされたサンへのトリビュート盤『Good Rockin' Tonight』に参加する資格を持ったバンドのひとつなのではないだろうか。その件をあえてジョンにぶつけてみた。

「そのトリビュート盤は聴いたことがないけど、TVのドキュメンタリー番組は観たよ。僕たちはサンのロックンロールに大きな影響を受けているから、その番組のなかで紹介されたサム・フィリップスをはじめとする関係者の発言には身を乗り出して聴き入った。でも、その番組でマッチボックス20が演奏したロックンロール・ナンバーは、ひどいと思ったね。アメリカでは、いまやメインストリームにあるロックの大半は、ラップ・メタル風のものばかりで、僕からするとうんざりさせられるものばかりだ。でも、アンダーグラウンド・シーンには良いバンドがいるからね。ここ半年ほどの間はボブ・ディランの『Love And Theft』をよく聴いている。僕は別にディランのフリークじゃないけど、最近の2枚のアルバムは大好きなんだ」

 今年でデビュー10周年を迎えたJSBX。最後に、現在のバンドの状態について語ってもらった。

「当然、JSBXは変わってきたし、各々の存在がより重要になってきたと思う。つまり3人揃ってこそ〈ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン〉であって、ジョン・スペンサー&ブルース・エクスプロージョンじゃない。つまり現在の僕たちは、このバンド名そのものなんだ」

ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプローションの軌跡、その2。

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掲載: 2002年05月09日 18:00

更新: 2003年03月07日 16:50

ソース: 『bounce』 230号(2002/3/25)

文/渡辺 亨