インタビュー

UKソウルの現状(プロデューサー編)

 大雑把に言うと、UKソウルのサウンド自体はUSのR&Bや2ステップの影響を受けながら徐々に変貌はしているものの、プロデューサーに関しては、ここ7、8年の間、それほど大きな入れ替わりはない。最近のUKソウル作品をみても、D・インフルエンスを筆頭に、シャイラ・プロスピアの作品で抜群の冴えを見せたフル・クルー、ミスティークなど数々のリミックスをこなすブラックスミス、みずからのアーティスト活動でも気を吐くレイ・ヘイデンやブルーイ(インコグニート)といった90年代初頭のアシッド・ジャズ・ムーヴメント周辺からのし上がってきたプロデューサー(・チーム)が、US産R&Bシーンの動向を横目で睨み(時にUSライクなサウンドを採り入れ)ながら、現在に至るまでトップ・クリエイターであり続けている。一時はショーラ・アーマらがUSのプロデューサーと組むなどUKアーティストの〈UK離れ〉が進むかのように見えたが、昨今はUSでのオーガニックR&B流行りも影響してか、70's~80'sライクなアーバン・サウンドを得意とする上記UKプロデューサーたちの活動の場がふたたび増えてきたようだ。ズバリ『Soul Organic』なるアルバム・タイトルを冠したヒル・ストリート・ソウルのVRSもその一人だろう。もちろん、エリーシャ・ラヴァーンやジョジョなどを手掛けるロシェア・プロダクションや北欧から進出したスターゲイトといったダンサブルなサウンドを得意とする人たちも忘れがたいし、UKガラージ方面からのクリエイターの活躍も見逃せない。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2002年05月09日 23:00

更新: 2003年03月07日 16:26

ソース: 『bounce』 228号(2001/12/25)

文/林 剛