UKソウルの現状(パフォーマー編)
2ステップがUKの音楽シーンの中枢に食い込んできたことで、クレイグ・デヴィッドを筆頭に、ロミーナ・ジョンソン、ミスティークといった新しいビートへの適応能力に優れた若手アーティストの登場が続いている……というのが、ここ最近のUKソウルの現状。つまり従来のメロディアスで親しみやすいUKソウルのスタイルに縛られない人たちの活躍である。2、3年前からはクリエイターのUS型R&B志向が影響して、クレオパトラがジャム&ルイスらを起用したり、ナイン・ヤーズやダメージらの男性グループも自分たちのスタイルをUSのそれに同化させてきたこともあり、従来のUKソウル的王道を保ったシンガーはシーン全体で見れば減ってきていた。 そうした中で70'sニュー・ソウル感の強いアルバムをリリースしたミスター・アレキサンダーなどは貴重な存在といえるが、日本からの逆輸入という形でUKっぽさを示して本国でもヒットしたエリーシャ・ラヴァーンをはじめ、そのエリーシャが手掛けたジョジョ、ミーシャ・パリス級の抜群の歌唱力を誇るシャイラ・プロスピア、念願のソロ作を発表した実力派のビヴァリー・ブラウン、そして新作を録り終えたばかりというビヴァリー・ナイトなど、女性にはUKマナーを湛えたシンガーが多い。男性でもショーン・エスコフェリーや、新作を発表したデニス・テイラー、それに非UK産ながら、ダーウィン・ホッブズ&マイケル・マクドナルドの“Everyday”や、D・トレインとボブ・サンクラーらが共演した“Darlin'”のような80'sソウル・タッチの曲がUKで大ウケしているのも興味深いところだ。
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