インタビュー

Xzibit(3)

より多様化したライミングとフロウ

また、リリックの内容に関しては、「いろんなサブジェクトに触れているから、もっと多様化してて、手応えのあるものができたと思う」と説明する。また、特筆すべきはイグジビットには珍しくセンチメンタルな内容の曲がひとつ含まれていること。“I Miss You”と名付けられたこの曲は、亡き母へ宛てたものだ。

「オフクロはオレが9歳のときに死んだんだ。このアルバムのなかで、自分を一人の人間としてオーディエンスに知ってもらって、自分がいま何を考えてるのかを知ってもらうために、こういう曲をやるのは大切だと思ったんだ」。

もちろん、毎回1曲は必ずある〈Bitch & Hoe〉ネタは健在。今回は“Choke Me, Spank Me(Pull My Hair)”(日本語に訳すと、〈首を絞めて、オシリ叩いて、髪を引っ張って〉)と超フリーキーなタイトルが付けられている。でも実は、ここで注目してほしいのはこの曲のリリックの内容ではなくて、彼のライム・フロウ。ドスの効いた迫力あるヴォーカルがトレードマークのイグジビットが、なんとスリック・リック風のささやきラップ(?)に挑戦しているのだ。ドレ-がプロデュ-スとミックスを手掛けている小細工の効いた(曲を聴いてのお楽しみ)トラックとともにこれは必聴。

「声を変えて、変わったことをしてみた。実験だよ」。

アンダーグラウンド・シーンからそのキャリアを積み、プラティナム・セールス達成の功績を成し遂げ、いまやそのファン層をロック・ファンにまで広げているイグジビット。より優れた作品を作ることで、また常にアンダーグラウンド・スピリットを保ち続けることによって、システム(Machine)に立ち向かうひとりの男(Man)が、このアルバムでさらなる快進撃を遂げるのは間違いない!!

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掲載: 2002年08月29日 12:00

更新: 2003年02月10日 13:13

ソース: 『bounce』 235号(2002/8/25)

文/松田 敦子