インタビュー

完全無欠全方位型の高性能ラッパー、Xの仲間たちをX線解剖

LIKWIT KREW a.k.a. LIQUID SQUAD
アフターマスでオクラ入りしちゃったアルバム『Thy Kingdom Come』がついに出る? かも知れない、西海岸の重鎮キング・ティー(現キング・T)が率いるのがリックウィット・クルー。が、T氏は相談役的なポジションで、中心となって動いているのは、ズバリ“Likwit”という曲をリリースしたことからもわかるとおり、アルカホリックス(現リックス)だろう。そのT氏~リックス周辺からフックアップされたのがXであり、デビュー前にはリックスともどもT氏の“Free Style Ghettto”に参加し初録音(恐らく)を経験している。その後クルーは、デファーライ、ルートパック~マッドリブ、デクレイム、バーバーショップMCズらを輩出し、超世代な集団として西海岸のヒップホップ・シーンを牽引している。(Masso)


キング・ティー『IV Life』(MCA)

DRE FAMILY
説明不要のドクター・ドレーだが、イグジビットの存在はいまやドレー・ファミリーになくてはならない存在にまでなっている。そもそもはセカンド・アルバム『40 Dayz & 40 Nightz』を盛り立てていたのがドクター・ドレーの弟子スジにあたるメル・マンやDJグローヴ、ブッダらだったわけだが、実質的なドレーとXの邂逅はドレーが手掛けたスヌープ・ドッグの復活曲“B Please”である。この一発でスヌープ、ドレー、ネイト・ドッグ、イグジビットの4人がキャリアをビルドアップさせたわけだから、スゴい曲だ。その後のXはドレーの『2001』にも印象深いラップを刻み、エミネム、ネイト、ウォーレンGといったドレー周辺の重要人物たちともマイクを交わしている。このたびメジャー・デビューした一家の新たな住人、ノクターナルにもすかさず助力。今後も彼らとXの共闘は続いていくだろう。(出嶌)

ROCK FIELD
しっかりしたキャラ立ちとアグレッシヴなステージング、さらにはレコーディング作品でもゴリゴリの熱さを展示してみせるイグジビットが、いわゆるロック・ファンにも支持されるのは当然だろう。セヴンダストによる“What U See Is What U Get”のカヴァーも生まれた2000年には、まずコーンのジョナサン・デイヴィスと“Year 2000”で合体、さらにはリンプ・ビズキットのアルバムにも参加。元ナイン・インチ・ネイルズ、現トゥイーカーのクリス・ヴレナーによる“X(Rock Mix)”も話題に。こうした前段階を経て2001年には〈フジロック〉に登場、同年の〈Anger Management Tour〉では、エミネムやパパ・ローチと同じステージに立ち、ロック・リスナーの支持を確固たるモノにした。ちなみに今年の同ツアーでもすでに白人キッズを大暴れさせている真っ最中とか。(出嶌)

GOLDEN STATE PROJECT
今回の『Man Vs. Machine』にも参加しているゴールデン・ステイト・プロジェクト(またはウォーリアーズ)はイグジビットを中心としたユニットであり、メンバーはハイエログリフィクスと人気を二分するオークランドのクルー=ホー・ボー・ジャンクションを率いるサフィアー、ラップ・スキルは認められながらもブレイクの機会を逃している未完の技巧派ラス・カスという豪傑揃い。各々の作品でのジョイントをきっかけに交流を深め、Xの2作目に収録された“3 Card Molly”で初の三役揃い踏み。サントラ『Training Day』にゴールデン・ステイト名義で“Bounce, Rock, Golden State”を提供し、本格的に始動し、X自身のレーベル、オープン・バーからのフル・アルバムも予定されている(リックウィット・クルーのデファーライを広義な意味でメンバーとするのもアリ)。なお、あの「Book Of Rap Lists」でも〈Hiphop Super Group〉に認定されている。(Masso)


デファーライ『Focused Daily』(Tommy Boy Black)

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掲載: 2002年08月29日 12:00

更新: 2003年02月10日 13:13

ソース: 『bounce』 235号(2002/8/25)

文/出嶌孝次、Masso 187um