インタビュー

Jennifer Lopez(2)

メディアには散々にやられたわ

 恋人ショーン“パフィ”コムズとの微妙な関係を引きずりつつリリースされた2001年の『J-Lo』は、映画「ウェディング・プランナー」と共に〈音楽と映画の両方が同時にチャート1位を記録した初めてのアーティスト〉という栄誉を彼女に与えたが、全体的にはデビュー作『On The 6』の焼き直しに終始した内容と酷評を浴びた。そんな状況を見事に救ったのがアーヴ・ゴッティ。平凡な曲だった“I'm Real”と“Ain't It Funny”を大胆なマーダー・インク仕様に作り替え、連続で全米シングル・チャート1位に叩き込んだのだ(アルバムのセールスが延びたのもアーヴのヴァージョンが追加収録されてからだった)。それを踏まえたリミックス・アルバム『J To Tha L-O! : The Remixes』もリミックス企画盤として初めて全米1位を獲得している。一方、〈本業〉である女優としての彼女も絶好調で、「ザ・セル」「エンジェル・アイズ」、2003年1月より日本公開予定の「イナフ」、同5月より全米公開予定の「Gigli」と主演作品も続々撮影されていった。いまや15万ドルにも及ぶギャラは、ジュリア・ロバーツやキャメロン・ディアスに継ぐもので、ラテン系女優では最高額。まさにスターだ。

 それでも、それゆえにか私生活の安定はなかなか得られなかった。夫クリス・ジャッドとは人気TV番組「オプラ・ウィンフリー・ショウ」で「クリスと結婚してホント良かったわ」と発言した直後に別居。当時の逡巡について、彼女は(現在の心安らかな立場から)こう語っている。

「過去にはちょっと安定しない恋愛関係も経験して、その時は、メディアには散々にやられたわ。もし関係が本物じゃなかったらメディアに引き裂かれることもあるでしょうね。でも、もしお互いがいちばん大事って思えていたら、誰も2人を邪魔することなんかできないわよね。そういう意味で言えば、2人の愛が揺るぎないものだったらなにがあろうと関係ないわ。少なくとも私の経験から言えばね」。

〈安定しない関係〉というのはパフィとのことをさしているのだろうが、逆に言えば、いまの彼女は幸せ一杯だということ。少なくとも音楽面にはそれが表れた。もちろん今回のアルバム『This Is Me...Then』の話だ。

ジェニファー・ロペスのアルバム。

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掲載: 2002年12月09日 12:00

更新: 2003年01月22日 13:30

ソース: 『bounce』 238号(2002/11/25)

文/轟ひろみ