インタビュー

で、その〈96年〉に何が起こってたの!?

『IT SELF』に収録された“M&M”のリリックでいくつもの事象が読みこまれた95~96年はジャパニーズ・ヒップホップの大きな転換期だった。そのなかで、キャリアあるラッパーたちが各々の活動を超えて集結したクルー=雷(YOU THE ROCK、TWIGYやRINO、G.K.MARYAN、GAMAら)、Rhymester、MICROPHONE PAGER(MURO、TWIGYら)、BUDDAH BRANDやSHAKKAZOMBIEはいずれもコアなレヴェルでヒップホップに求心力を求める輪の中心にいたアーティストたちだ。その輪はYOUがホストを務めたFMプログラム「ヒップホップ・ナイトフライト(=夜間飛行)」を通じて電波でも伝わりながら大きくなっていき、96年、ECD主催の野外イヴェント〈さんピンCAMP〉でひとつの頂点を迎え、伝説となった。HAZU(現・刃頭)の“BALL”はそのサントラに収録されている一曲。また、『悪名』は当時のシーンの熱をパックした記念碑的コンピで、続編も残されている。その他にも、Rhymesterのセカンド・アルバム『EGOTOPIA』に収録された“口から出まかせ”やスチャダラパーの『偶然のアルバム』、ECDの“マス対コア”など、“M&M”にはニヤリとさせられる要素がさらに埋まってるので探してみよう。


96年のサントラ『さんピンCAMP』(cutting edge)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年05月08日 12:00

更新: 2003年05月08日 17:18

ソース: 『bounce』 242号(2003/4/25)

文/一ノ木 裕之