新作の謎を解く〈聴き会〉で集められた意外な作品とは……?
『MUSICAL BRAIN FOOD』のレコーディング中、メンバーはそれぞれにお気に入りのアルバムを持ち寄ってはそのサウンドの音の成り立ちを研究(というほどの堅苦しいものではなかったでしょうが……)していたそうな。まず、ちょっと意外なところでは、今月号の表紙をLITTLE TEMPOと共に飾っているメタリカの『Master Of Puppets』。メタリカ史上でももっとも高い完成度を誇るこのアルバムを土生“TICO”剛は「意外と音圧がないんだよね」と一刀両断。でも、共に表紙を飾っていることを伝えると大喜びしてくれました。
また、マイルス・デイヴィスの諸作も愛聴していたそうで、なかでもお気に入りはジョン・コルトレーンらを擁する最強メンバーによる55年作『'Round About Midnight』。『MUSICAL BRAIN FOOD』との近似性でいえばファンクやサイケデリック・ロックを採り入れた60年代後半~70年代の作品が挙がってきそうなものだけど、シンプルではあるものの濃厚な空気感をパッキングしたこのジャズの名盤が聴かれていたところも意外といえば意外。そのほかにもジミ・ヘンドリクス(TICOいわく「ジミヘンといえばやっぱり『Electric Ladyland』でしょ!」)やサン・ラー(あれやこれやといろいろ聴いていたそうです)、レゲエ(とにかくいっぱい!)などをあらためて聴き漁った成果が『MUSICAL BRAIN FOOD』という一筋縄ではいかない作品に結実しているのです。
サン・ラー・アンド・ヒズ・アーケストラ『Greatest Hits -Easy Listening For Intergalactic Travel』(Evidence)
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カテゴリ : インタビューファイル
掲載: 2003年05月29日 18:00
更新: 2003年06月05日 18:49
ソース: 『bounce』 243号(2003/5/25)
文/bounce編集部