インタビュー

参加メンバーが語る『MUSICAL BRAIN FOOD』、そしてLITTLE TEMPOのヒミツ……

田村玄一(スティールパン、スティール・ギター)
「土生クンがスティールパンを始めてからは彼が自分で叩くようになったので、ボクはずっとスティール・ギターしかやらせてもらえなかったんですよね。でも、今回はどちらともなくいっしょにやろうかということになって2人同時に録ったんです」と話すのはASTRO AGE ORCHESTRAなどでの活動でも知られる日本一忙しいスティールパン奏者(でありマルチ・プレイヤー)、田村玄一。LITTLE TEMPOにとっては欠かすことができない重要プレイヤーである彼は新作について「音質、編曲ともにいつも以上にこだわって作りましたし、ボク自身もより深く関わったので思い入れが強いんです。でも素直に楽しめる明るいアルバムになったのではないでしょうか。暗黒面もそれほど出てませんし(笑)」と話してくれた。LITTLE TEMPOについては「歳の離れた弟たちに混じって自由に遊ばせてもらっている感じでしょうか。なかなか古風な一面を持ったやつらなんで違和感なく付き合ってますけどね。ボクにとってもこのバンドでスティール・ギターを弾くことは大いなる快感なんです」と語る彼の存在感は、このアルバムにもくっきりと残されている。

HAKASE(キーボード)
以前にはLITTLE TEMPOの正式メンバーだったこともあり、自身のソロ・アルバムではワン・アンド・オンリーのプレイと独自の音楽センスを聴かせてくれるHAKASE。今回の新作に再度名を連ねることになった彼は「とにかくかつて聴いたことのない音をクリエイトすべく。オーセンティックなルーツものを作ろうとしても、メンバー各人のアーティスト気質がどうしてもワルサするんだよね。それがリトテンと営業レゲエ・バンドとの決定的な違い」と制作にあたっての苦労点を話してくれた。彼もまた、オーセンティックなサウンドに魔法のようなエッセンスを振りかけて未知の音楽を創造してきたプレイヤーだけに、この言葉には深く納得。紆余曲折を経てできあがった『MUSICAL BRAIN FOOD』については「〈くぐもった音〉にこそ真理があるんです。繊細にして大胆な」という、これまた彼らしい言葉を残してくれた。で、最後に〈あなたにとってLITTLE TEMPOとはどのような存在?〉という質問を投げかけると「満更でもない磁場。磁場ですよ、磁場。しょっちゅう狂う」との答え。〈磁場〉? その謎を解くには『MUSICAL BRAIN FOOD』を体験するしか……。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年05月29日 18:00

更新: 2003年06月05日 18:49

ソース: 『bounce』 243号(2003/5/25)

文/bounce編集部