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インタビュー

Metallica

メタリカとは、ロックンロールの概念を暴力的に壊し続けるバンドだ!! 6年ぶりとなる新作『St. Anger』の拳は、いったいどこに向けられているのだろうか?

ロック・シーンにおけるメタリカの存在


 MTVが年に一度放映する〈MTV Icon〉というスペシャル・プログラムをご存知だろうか。簡単にいうと、現在の音楽シーンに影響を与えてきたアーティスト1組の功績を讃えるMTVなりの〈殿堂入り〉的な催しで、一昨年はジャネット・ジャクソン、昨年はエアロスミスがその栄誉に輝いているのだが、第3回を迎えた今年、そこで祝福されたのはメタリカだった。88年リリースの4作目となるアルバム『...And Justice For All』からのシングル“One”まで、まったくプロモ・クリップを作らずにいたこのバンドがMTVでこうした扱いを受けること自体が異例なのだが、だからこそ逆に、ここで彼らが後続に与えてきた影響の大きさが証明されている気がする。バンドのフロントマンであるジェイムズ・ヘッドフィールド(ヴォーカル/ギター)は、この一件についてこんなふうに語っている。

「特別功労賞をありがとう、とか言いつつ、去ってどっかで死んじまうのならともかく、決して良い子にしてたわけじゃない〈これまで〉の俺たちを祝福してくれるっていうんなら、そのエネルギーを〈これから〉の自分たちを褒めてもらえるように活用しようじゃないか。ほかのアーティストたちがメタリカの曲をプレイしてくれるなんてのはくすぐったいけど、どうあれ俺たちが誰かをインスパイアしたっていう信じ難いことが証明されるわけだし。俺、メタリカの曲がそのアーティストなりの解釈でカヴァーされてるのを聴くのは好きなんだ。俺たちのバンドがそいつらにとってどういう意味を持ってるのか、それが披露される機会だと思うからな」。

 今年の〈MTV Icon〉は、去る5月6日に全米で放映された。そこで彼らの曲をリスペクトの念とともにカヴァーしたのは、アヴリル・ラヴィーン、スヌープ・ドッグ、サム41、リンプビズキット、ステインドといった顔ぶれ。それ以外にもリサ・マリー・プレスリーやケリー・オズボーン、リンキン・パーク、元ガンズ・アンド・ローゼズのダフ・マッケイガンといったところが番組に華を添えた。ちなみにアヴリルはアルバム『Reload』の収録曲である“Fuel”をカヴァーし、「子供の頃から聴いてたわけじゃなくて、メタリカにハマりだしたのはここ2年くらいのことなの。でも素晴らしいバンドだと思うし、今日はここに来られてホントにハッピーだわ」と語ったという。これはまさに、10代のロック・ファンの声を代弁するものだという気がする。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年05月29日 11:00

更新: 2003年06月05日 18:49

ソース: 『bounce』 243号(2003/5/25)

文/増田 勇一

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