インタビュー

Dropkick Murphys(3)

for FAMILY!!

 ラッキーなことにニュー・アルバムを人一倍早く手に入れた俺は、すでに何十回とこのシンプルに『Blackout』とタイトルされた作品を聴いている。そして今作の出来映えに、繰り返し繰り返しノックアウトされ続けている。

「これまでの作品とこのアルバムの最大の違いは、とにかく今回初めて本当に自分たちの手でアルバムを作り上げたってことだ。ゲストは“The Dirty Glass”に参加しているステファニー・ドゥハティーだけだけど、彼女はいま俺たちのツアーでグッズのブースを担当してくれている子で、いわば身内なんだ。ラーズ(ランシド)がプロデュースしてることもないし、前作のように誰もがビックリするようなゲストもいない。ありのままの俺たちがこのアルバムに投影されているんだ」。

 前3作同様、このアルバムも当然のようにボストン郊外のアウトポスト・スタジオでレコーディングがおこなわれており、ここでもバンドと彼らの産まれ故郷、ボストンとの強い絆を感じさせずにはいられない。

「やっぱりレコーディングが終わったら、家に帰って家族や友人との時間を大切にしたいよね。俺たちのケツの穴のしわの数まで知っている優秀なエンジニアもいるし、自分の枕で寝られる快適さは何物にも変えられないよ。それにアルバムがリリースされたら、いやでも7か月はツアーに出ているのに、わざわざレコーディングのために知らない街で2か月近く過ごすなんて馬鹿げている」。

 そんな彼らの3度目となる来日の噂もちらほらと聞こえはじめている。その前には〈Warped Tour〉へ参加、今年はヘッドライナーということで、何かと話題は尽きない。

「俺たち自身は何も変わっちゃいないんだけどね。周囲はトリ(ヘッドライナー)だって騒いでいるけど、俺たち的には出番が早いほうが、その後呑んだくれながら好きなバンドを観たり、友達と話ができるからそのほうが良いくらいでさ。出番までシラフで待っているほうが苦痛だよ(笑)」。

 バンドが大きくなるにつれ、すっかり舞い上がってゲス野郎=ロックスターになる奴らも多いが、われらがDKMにその心配はなさそうだ。奴らに会える日を待ちわびながら、新作『Blackout』で一杯やろうぜ(飲めない奴はミルクでね)。

▼ドロップキック・マーフィーズのアルバムを紹介。

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掲載: 2003年06月05日 15:00

更新: 2003年06月05日 18:46

ソース: 『bounce』 243号(2003/5/25)

文/大橋 光裕