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インタビュー

ネプチューンズのルーツにある音楽ってどんなの?

 ローリング・ストーンズの“Sympathy For The Devil”をネプチューンズがリミックス……その顔合わせこそ興味深いが、違和感は感じない。実際に、ネプの仕事ぶりは原曲の妖しい呪術感をそのままにビートをガッチリ補強したカッコイイ仕上がりだった。というわけで、ネプチューンズはルーツが見えにくい人たちじゃなく、アイデアやインスピレーションの源を言い当てることはさほど難しくはない。だから、よく並び称されるティンバランドが持っているような神懸かった天才性は、彼らには求め得ないものだ。が、代わりにネプチューンズが決定的に持ち合わせているのは、さまざまなパーツを組み立てるセンスだ。だから、プリンス直系の鳴りを見せるドラムスやクラップ、ジェイムス・ブラウンばりの粘っこいファンクネス(師匠のテディ・ライリーから受けた影響が大きいはず)、ニルヴァーナ譲りのダイナミックなアレンジ、AC/DC風のえげつないリフ(N.E.R.D.のツアーTシャツはAC/DCのロゴを引用してた)……といったポップな旨味を、ボサノヴァやエレクトロニクスや変な声ネタやノコギリシンセでオタク気味に繋ぎ合わせることができるのだろう。

 一方、初めてファレルの珍妙なヴォーカルを聴いた時、筆者が思い出したのはマーヴィン・ゲイ“Got To Give It Up”、そして(同曲に着想を得て生まれた)ストーンズの“Emotional Rescue”におけるミック・ジャガーの冗談のようなファルセットだった……と文頭に繋げることも可能。彼らは、こんな素人考えでも簡単に連鎖するアイデアの渦から美味なポイントをつまみ上げるスキルに長けているのだ。その意味ではベックにも近い?

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年09月04日 13:00

更新: 2003年09月18日 17:01

ソース: 『bounce』 246号(2003/8/25)

文/出嶌 孝次

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