インタビュー

MIGHTY JAM ROCK(3)

〈やりまくった〉っていう感じかな

 アルバムは前2作と同じように、日本が誇るダンスホール・レゲエ・バンドであるHome Grownとの一発録りのライヴ・セッション“Intro JUST START”からスタートする。歌うはTAKAFIN。JUMBO MAATCH、BOXER KIDとこれまでのアルバムのイントロで回されてきたマイクが、ようやく彼の手に渡った形だ。

「俺的にはやっとできた感じ。(Home Grownは)ミュージシャン的にもプロフェッショナル中のプロフェッショナルやし、それでいてレゲエのミュージシャンやっていうんやから間違いないですね」(TAKAFIN)。

 そんな信頼関係は、今作の最後にHome Grownの最新作『GROWN UP』にも収められていた“GWAAN GOOD”が再収録されていることからもあきらかだ。そして、その2曲を除いた全13曲のリディム制作を行ったのは、ジャマイカの錚々たるトラックメイカーたち。数々のヒット・リディムを手掛ける俊英、ドノバン“ヴェンデッタ”ベネット(彼の最新のヒット・リディムのひとつは〈Good To Go〉だ)や、MJRとの付き合いも長いリチャード“シャムス”ブラウニー、ダンスホールの歴史を築き上げてきたスティーリー&クリーヴィーやファイアハウス・バンド(ディーン・フレイザーの泣けるサックスもたっぷりと聴くことができる)、そしてレフト・サイド&セラーニ……と、これまでと変わらぬ制作陣ではあるものの、やはりこのメンバーは豪華であるとしか言いようがない。しかも、3曲の同一のリディムによるナンバーを除いてはすべてがその曲限りのリディム使用。

「そこもスゲエ贅沢して。いままで以上にやりたいようにできた」(BOXER KID)。

「今回は……そうや、〈やりまくった〉っていう感じかな(笑)」(JUMBO MAATCH)。

 結果、「毎回もっと太く、もっと強くとは考えてやってますね」(BOXER KID)という言葉どおりに今作は仕上がっている。いや、彼らにとって計画どおりの音の太さであったとしても、聴き手にとってこの仕上がりは驚異的ともいえるものだろう。もちろんそこには、プロデューサーのKYARAとROCKを含めた5人による〈音の追求〉の成果があることは間違いない。

「僕らは純粋に音のことだけしか考えてないんですよ。〈自分らが満足するように〉っていうのが大前提で。言い方は悪いけど、売ろうと思ったらもっと変えなきゃいけないところなんていっぱいあると思うんですよ。でも、〈すいません、僕らはできません〉っていうのがMJRやと思うんです。その代わり、とことん音にはこだわってますけどね」(BOXER KID)。

▼MIGHTY JAM ROCKの作品を紹介。

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掲載: 2003年09月04日 17:00

更新: 2003年09月04日 20:39

ソース: 『bounce』 246号(2003/8/25)

文/大石 始