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インタビュー

Alicia Keys(2)

一瞬たりとも退屈させない

――最新作は、どんなアルバムになりそうですか?

「自分のハートやソウルが詰まっているっていう意味では前作と同じね。自分で曲も書いたし、プロデュースもしたし。自分の人生や考えていること、感情がすべてここにあるの。だけど前よりもずっと進歩したから、前と同じではないわ。自分自身もそうだし、声ももっと強くなったと思うし、演奏も上達した。すべてが一歩前進した感じよ。いろいろなスタイルやアイデアがミックスされた、とてもパーソナルなアルバムに仕上がったわ」

――具体的にどういうスタイルがミックスされているのでしょうか?

「60年代や70年代を思い出させながらも現代風であったり、ナズやラキムが参加した“Streets Of New York”みたいに、ハードでダークなヒップホップがあったり。だけどそこにピアノを加えたりして変化を持たせたわ。ひょっとしたらロックの影響を感じることもあるかもしれないわね。私がピアノを弾いているだけのシンプルでパーソナルなものもあるし、リリック的にもいろいろな角度から捉えてみたわ。一瞬たりとも退屈なことがないようなアルバムに仕上がったと思っているの」

――アルバムのタイトルは“Diary”という曲が出来てから付けたものですか?

「そうなの。アルバムをこうしたい、っていう明確なヴィジョンがあったの。私の日記の抜粋みたいになる予定よ。私がずっと日記を書き続けてきたっていうこともあるし、日記は、私にとって自分を表現するのに最良の方法なのよ」

――今回もクルーシャル・ブラザースと一緒にやっているのですか?

「もちろん。このメンバーでアルバムの大半のプロダクションを手掛けたわ。それからカニエ・ウェストといっしょにやったのが“You Don't Know My Name”。それからイージー・モー・ビーという素晴らしいプロデューサーともコラボレートしたし、トニ・トニ・トニのドゥウェイン・ウィギンスともいっしょにやった。いまのところコラボレートしたのはそのくらいかな。あとはハロルド・リリーという素晴らしいライターとも」

――サンプリングも楽しんでますか?

「ヒップホップを聴いて育ってきたし、それがいまの私の大きな一部でもあるのよ、クラシックやソウル・ミュージックの他にもね。だけどおもしろいのは、そのサンプリングに少し手を加えてみたことなの。ピアノを加えて、上へ下へと変調させてみたりしたのよ。ビギー(ノトーリアスBIG)のサンプルに関しては、ずっと同じ調子が続くんじゃなくて、コードやキー・パターンに合わせて変えてみたりしたの。ノーマルなサンプルの仕方じゃないし、とても新しいやり方だと思うわ。キー・チェンジやコード進行、ヒップホップ的なサンプリングやハードなドラムとか、私らしさをすべて反映できたものに仕上がったと思うわ。聴いていて力強く感じるようなものになったわね。全部の曲がそういう感じだと思うし」

――ヴォーカルのキーも高くなりましたね?

「ありがとう。これまでは温かみのある低音域の曲を自分でも好んで歌いがちだったけれど、今回は表現したいと思うトピックを考えていた時に、いままでよりもっと強さが必要だから、ちょっと音域を上げていかなきゃならないわ、と思ったのよ。これまではハードすぎると思っていたことも、今回は自分の感情や表現法を制限したくなかったの」

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年12月04日 16:00

更新: 2003年12月04日 18:32

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/伊藤 なつみ