こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

アリシアのルーツにあるオールド・ソウル

 R&Bアーティストで古いソウルに影響を受けていない人なんて、まずいないわけで、もちろんアリシア・キーズもその例に漏れないが、とりわけアリシアはオールド・ソウルへの憧憬を目に見える形で示してきた。そのもっともわかりやすい例がカヴァーで、これまでに彼女は、デビュー作でプリンスの(ステファニー・ミルズも歌った)“How Come You Don't Call Me”を、デビュー作の新装盤に追加されたライヴ音源ではダニー・ハサウェイの“Someday We'll All Be Free”を情感タップリに歌い上げている。特に後者の終盤では、意識的なのかどうかマイケル・ジャクソン“The Lady In My Life”風のナヨなフェイクも登場。カヴァーでなくても、デビュー作に先駆けてサントラ『Shaft』に収録された“Rock Wit U”はアイザック・ヘイズの管弦アレンジが施された70'sソウル・ムードの曲だったし、大ヒットした“Fallin'”にしてもジェイムズ・ブラウンの“It's A Man's, Man's, Man's World”を基盤にした哀愁ソウル・バラードだった。そんなソウル心を持つ彼女が新作に先駆けてリリースしたシングル“You Don't Know My Name”は、メイン・イングリーディエントの75年曲“Let Me Prove My Love To You”をまんまバックに敷いて切々と歌い上げる、これまた70'sフレイヴァー漂う劇的なバラードで、彼女のオールド・ソウル趣味を再確認。他にも、グラディス・ナイト&ザ・ピップス屈指の名曲“If I Were Your Woman”を、前述のヘイズも歌ったバカラックの名曲“Walk On By”と繋げて歌っているのだから……まったくオッサン泣かせのレディー・ソウルだ。


プリンス『The Hits & B-Sides Collection』(Paisley Park/Warner Bros.)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2003年12月04日 16:00

更新: 2003年12月04日 18:32

ソース: 『bounce』 249号(2003/11/25)

文/林 剛