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インタビュー

Elephant Man

ダンスホール・レゲエ界から次なる狙撃手がやってきた。抜群のキャラ立ちと濃厚なヴァイブスを放ち、アノ人もコノ人も注目中……俺が象男だ!! パオ~ン!!

聴いていると自然に身体が動くだろ?


 ジャマイカの〈イチバン〉にはふたつの系譜が存在する。偉大なるローカル・ヒーローと、華々しいインターナショナル・スターと。島内およびレゲエ・サークル内で絶大なる人気と信頼を勝ち得ながら、その外までオーラが届きづらいのがローカル・ヒーロー。この系譜には、ピーター・トッシュ、ニンジャマン、バウンティ・キラーなどが入る。インターナショナル・スターは、〈レゲエ大使〉として外に向かう宿命を背負った人々。こちらには、ボブ・マーリー、シャバ・ランクス、ビーニ・マン、そしてショーン・ポールが名を連ねる。ちなみにシャバとニンジャ、バウンティとビーニはそれぞれライヴァルとして〈ケンカ〉することで、さらにシーンを盛り上げた。 

 エレファント・マンは〈偉大なるローカル・ヒーロー組〉だとずっと思っていた。本人もそう認識していたようで、ちょうど1年前に行った本誌のインタヴューで「俺がクロスオーヴァーするかどうかは、神様に任せるしかないね」と冷めたコメントをしていたくらい。名前も見た目も声もリリックもスタイルもパフォーマンスも全部がぜーんぶ、エグい彼である。トップDJにとっては素晴らしい資質が、〈ダンスホールってナニ?〉な人たちには口当たりがキツイんじゃないか? そんな周りの(余計な)心配を見事にかわして、〈国際的驚異的短期的スター道〉を物凄い勢いで、ドドドーッと走っている真っ最中。ミッシー・エリオットが、ワイクリフ・ジーンが、噂によるとマライア・キャリーまでもがコラボを実現、もしくは希望しており、彼のヒット曲“Pon De River, Pon De Bank”でアメリカ人が足を上げて踊っているのだ。本人も自分のファン層が増殖しているのをヒシヒシと感じている。

「昔からのファンは新しいフレイヴァーを求めて、俺が次に何をするか注目しているし、新しいファンはまず俺が何を言っているのか理解するのに努めてるね」。

“Pon De River, Pon De Bank”はBET(Black Entertainment Television)のリクエスト番組で1位を獲得。快挙だ。

「ジャマイカで大流行していたから、ある程度までウケるだろうとは思ってたよ。国が違っても人間の五感はあんまり変わらなくて、良いモノは良いことが伝わるから。音楽ってのは食べ物と同じなんだ。聴いて、見て、感じて、味わう。みんなが気に入るような味わい深いリリックを作れば、その美味しさはわかるんだ。……まぁ、正直、あそこまで流行るとは思ってなかったけど(笑)」。

 通算4作目にしてメジャー・デビュー盤となる新作『Good 2 Go』には、ゴリゴリのダンスホール・レゲエが詰まっている。「聴いていると身体が自然に動くだろ? 自分でもメチャクチャ気に入っている。自分はもっと行ける、もっとできるって思いながら努力を続けたら、なんでも可能なんだよな」と彼は胸を張る。この作品はインターナショナル用にほかの音楽の要素を入れてトーン・ダウンすることなく、ジャマイカ発のヒット・チューンを中心に構成されている。

「俺がやっているのはダンスホールだから。ほかのジャンルのアーティストと一緒に組む時でも、なるべく自分のテイストは残すように努力している」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年01月15日 16:00

更新: 2004年01月15日 17:31

ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)

文/池城 美菜子