『Good 2 Go』に集ったUSのヒップホップ/R&B勢
エレも凄いがゲストも凄い!ってことで、まずは本文にもあるように、アトランタのお祭りピンプことリル・ジョンの客演&プロデュースは最大のトピックだろう(彼の経歴についてはP84を参照)。その“Jook Girl(Wine, Wine)”は、ジョニー・ケンプが88年に大ヒットさせた“Just Got Paid”をズルズル引用した超ブーティーなケツ振りチューン! 同曲にはアトランタの巨漢ラッパー=ボーン・クラッシャーも参陣していて、熱すぎ&暑すぎ! もとよりリル・ジョンら南部勢の生み出すクランク・トラックはブリブリに肥えたバスドラが心臓部なわけで、ある種のリディム(『Good 2 Go』収録曲だと“Fuck You Sign”で使われているリディム〈Sign〉とか)とは異母兄弟のようなものだし、両者の相性の良さも当然なのだ。一方、ウータン一派のキラー・プリーストが“Who We Are”に登場。こちらも自身の“Robbery Remix”にエレを招いたプリーストのお返し参加という形だ。また、“Cock Up Your Bumper”に登場するのは、R・ケリーのレゲエ・チューン“Sneak”で名を上げたビッグ・ティガー。ちなみに『Good 2 Go』収録の“Real Gangstas”はケリーによるジニュワイン2003年の大ヒット“Hell Yeah”を引用している。そして、これまた納得の起用が、“So Fine”でのジミー・コージエ。彼はワイクリフに見い出されたシンガー(母親はボブ・マーリーやジミー・クリフの録音に参加した経験もあるそうだ)で、彼のアルバム『Jimmy Cozier』にもルーツ寄りのカリビアン・ムードはしっかり刻印されていた。
で、そもそもダンスホールとヒップホップ/R&Bとの距離感が縮まっている……と言い交わされて久しいが、実は旬のヒップホップ/R&B勢が旬のレゲエ作品に参加する例はあまりなかった。そういう両陣営の交流を双方向にしている意味でも『Good 2 Go』は金字塔と呼ぶに相応しい。
▼文中に登場したアーティストの作品を一部紹介。
リル・ジョン&ザ・イースト・サイド・ボーイズ『Part II』(BME/TVT)
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掲載: 2004年01月15日 16:00
更新: 2004年01月15日 17:31
ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)
文/出嶌 孝次