インタビュー

ZAZEN BOYS(2)

目標としてるのは、レッド・ツェッペリン

 自由な気分。それがいまの向井秀徳を突き動かしている。気の向くままに、あれこれと区別することなく、音楽を発すること。振り返れば、ナンバーガール時代の彼もそんな調子で活動していたように思うのだが、上記の発言を踏まえると、当時はバンドというフォーマットを最優先していたことがよくわかる。しかし、彼とナンバーガールの同僚であったアヒト・イナザワ(ドラムス)、Kicking the Lionの吉兼聡(ギター)、そして、先ごろART-SCHOOLを脱退した日向秀和(ベース)からなるZAZEN BOYSも歴としたバンドである。ナンバーガールとZAZEN BOYSは、何がどう違うのだろうか?

「基本的に僕が先頭にいるっていうところがナンバーガールとはちょっと違う。でも、もちろん、バンドなので一人一人の個性がないとおもしろくないし、それが組み合わさったり、ぶつかり合ったりっということがないと駄目なので、そういうコントロールはしています。目標としてるのは、レッド・ツェッペリンなんですけれども、それこそ4つのサウンドがあって、それぞれがそれぞれの表現をして、それが最終的にひとつの固まりになっていくっていう、そのバランスがすごく良くて、強い、と。ああいう形はやっぱイイっすね。でも、基本的な自分のなかの筋……それはなにかっていうと、ロック音楽をやる、だからバンドをやる、そしてギターを鳴らす……それはまったく変わってないですね。バンド解散後に想像してたのは、ナンバーガールの最後のころから自分のやりたいことがずっとあったので、それをそのまま場所を変えてやるだろうなってことだったんですけど、それがつまりこのアルバムです」。

 ジャケットにスプレー塗料で描かれたような〈ZAZEN BOYS〉というヨレヨレのグラフィティもどき。ヨレヨレであるところが、いい意味でZAZEN BOYSの音楽を象徴している。

「ホントはね、ヒップホップのグラフィティをやってみたかったんやけど、そうならなかった残骸。ひどい話でしょ(笑)」。

 そう言って笑うが、もちろん、彼には端からままをするつもりはないし、それは音楽もしかり。ヒップホップ、ファンク、ジャズ、ダブ……そうした音楽からの影響は『NUM-HEAVYMETALLIC』とは比較にならないほど明らかになってはいるが、ボコボコに殴られ蹴られたそれらは原型をとどめていない。ただし……。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年01月22日 12:00

更新: 2004年02月19日 17:04

ソース: 『bounce』 250号(2003/12/25)

文/小野田 雄

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