インタビュー

まさに八本足な手練手管!! OCTOPUSSYのプロダクション

 SOULHEADの“STEP TO THE NEW WORLD”を聴いて頭に浮かんだのは“Hey Mr. D.J.”で登場した時のジャネイ。そう思ったのは、彼女たちのプロデューサー=OCTOPUSSYの歯切れのいいトラックがジャネイを手掛けたケイ・ジー(元ノーティ・バイ・ネイチャー)の音とダブったから。オールド・ソウル/ファンクの躍動感のあるグルーヴにイマっぽさを加味しつつ、ひたすらキャッチーに、それでいて黒く太いヴァイブを放つあの感じだ。SOULHEADの作中にトークボックスやジャジーなギターを交えたロジャー~ザップ的なクールネスやウォーのようなラテン・グルーヴも忍ばせ、『BRAIDED』でもP~Gファンクな音作りを実践。スロウではチェンジング・フェイシズを手掛けたR・ケリーのようなメロディアスな音を紡ぎ出す。

 それらは、YOSHIKAと制作したCrystal Kayの“Candy”、SOWELUの“Fortune”、それに椎名純平の“throb vs. smile”にも共通するもので、スムーズなヴォーカルの引き出し方も特徴的。平井堅“Style”での2ステップ風、中島美嘉“JUST TRUST IN OUR LOVE”での4つ打ちモードなどアレンジの手腕も興味深い。まさにタコのごとく多方向へ足を伸ばし、リスナーの耳に吸いつく、多彩かつ多才なプロデューサーなのである。

▼文中に登場したアーティストの作品。


ジャネイの93年作『Pronounced Ja-Nay』(Motown)

▼OCTOPUSSYのプロデュース/アレンジ曲を含むアルバム。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年05月07日 17:00

更新: 2004年06月17日 18:23

ソース: 『bounce』 253号(2004/4/25)

文/林 剛

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