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インタビュー

syrup16gの銀盤たちをおさらい!

『COPY』
DAIZAWA/UKプロジェクト(2001)
初期クリエイション的な気怠いメランコリアとニルヴァーナ以降のささくれだったオルタナティヴ精神を纏ったファースト・フル・アルバム。独特のコード感を持ったリフとその上に描かれる印象的なメロディー。そしてそれを豊富な音楽言語で裏付けるバンド・アンサンブル。五十嵐隆の類い稀な才能は本作ですでにあきらか。

『coup d'Etat』
トライアド(2002)
当時、五十嵐が「ギター、ベース、ドラムスだけでできることはまだまだあると提示したかった」と語った本作は、ときに実験的ですらある3ピースのアンサンブルがさらに意外性を増している。とくにメロディー楽器としてのベースが有効的で、ヴォーカルのブチ切れ具合もスゴイ。過激な詞世界はある意味ショック療法的なものとも思われる。

『delayed』
REBELS(2002)
『coup d'Etat』の3か月後にリリースされた本作は、デビュー前に書き溜めてあった楽曲をまとめたというもの。サイケデリックで甘美なメランコリアが全編を覆い、希代のメロディーメイカーとしての五十嵐の才能を確認できると同時に、オルタナティヴ性を強めていくことになる彼の出発点に、こんなにも優しく詩情に溢れた世界があったことに驚く。

『HELL-SEE』
REBELS(2003)
前作『delayed』から半年後という短期間ぶりも相まって、その早急すぎるリリースに狂気じみたものを感じずにはいられないわけで、おそらくもっとも〈逆ギレ指数〉の高い内容。思いつきをそのまま焼きつけたようなアレンジにもヴァリエーションがあるのは、音楽的身体能力の高さゆえか。なんとなくニルヴァーナの『Incesticide』を思い起こす。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年05月13日 11:00

更新: 2004年05月13日 19:09

ソース: 『bounce』 253号(2004/4/25)

文/内田 暁男