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インタビュー

スクービードゥー(2)

音源がイイって言わせたい

「フェニックスとか聴いてましたね。あと、ニュー・マスターサウンズのセカンドとかは、レコーディング始めたてのときにずっと聴いてて、エンジニアの方にもベーシックはこういう音で、とかって。あとディアンジェロとかエリカ・バドゥ、メアリーJ・ブライジ、メイシー・グレイ……生音系が多かったかな。ライヴをやらなかった時期を半年ぐらい過ごしていると、いろいろ聴いたりする機会が増えて、そうするとなんかこう、音源として良いものというか、もっと楽曲からイメージや風景だったり、まずはそういうものが浮かぶ音作りっていうのをめざしたいなと」(マツキタイジロウ、ギター)。

『Beautiful Days』を聴いて、まずは楽曲アレンジのアイデア、その豊富さに耳を惹かれる。そもそも〈リズム&ブルース〉をサウンドの軸としてきたスクービードゥーだが、それに特化した音楽をこれまでにも作ってきたわけではない。メンバーの興味はいつも多方向に向いており、作り出す楽曲にはある種の普遍性を兼ね備えたポップ感覚というものがいつも含まれていた。しかし、その度合いというか、成熟っぷりが『Beautiful Days』では半端ではないかたちで現れている。ちなみに「ライヴをやらなかった時期」というのは、昨年の夏、リーダーのマツキが急病で倒れるというアクシデントによるもの。茶化すつもりはないけれど、病床で何かが降りてきたのでは?なんて突拍子もないことも考えてみたくなる。それこそ、北野武みたいに。

「僕が?……そこまではないですけど(笑)。でも、音源がイイって言わせたいって気持ちは大きかったですね。そればかり意識するのもなんですけど、どうしても〈スクービードゥーはライヴ〉っていうイメージで、ライヴを観てから音源を手に取るっていう人も多い感じだし、なんか、それを覆すような作品を作りたいなっていう気持ちはいちばん大きかったと思います。音源聴いて〈あっ、イイな〉と思って買ってもらって、ライヴに来る人を増やしたいっていうか。いままでの人の寄ってきかたの逆な感じ。ロックなものを期待してる人を裏切ってる感じもあると思うんですけど、逆にそういう人たちのまったく想像つかなかったものを作れたと思うし、〈でもスゴいね!〉っていう自信もあるというか。そういうのは、僕だけじゃなくてメンバーみんな……口に出してどうのっていう話はあまりしないけど、あると思うんですよ」(マツキ)。

「とはいっても、やっぱライヴの興奮というか、ライヴのなかで根っこになる部分みたいなものはゼッタイ入れたいなあとも思ってて。でも、ライヴと同じやり方をしても作品として残せない。結果的に残んないものになったら意味ないんで、いつ聴いてもグッとくるような感じっていうか、ホント聴いたときにいちばんグッとくるものをめざしたいなあというか。それは歌を歌うにしても詞を作るにしても思ったところですね」(コヤマシュウ、ヴォーカル)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年07月29日 12:00

更新: 2004年08月19日 23:51

ソース: 『bounce』 256号(2004/7/25)

文/久保田 泰平