コンヴァージを生み出したボストンのハードコア・シーン
USのハードコア・シーンにおいて、ボストンは紛れもなく聖地の一つである。ワシントンDCで巻き起こっていたムーヴメントに感化されるような形で、80年代前半にはSSD、DYS、FU'S、ギャング・グリーン、フリーズなど、シーンの歴史を語るうえでは欠かせないハードコア~パンク・バンドが数多く現れた。そんな当時のシーンを顕著に表している歴史的オムニバスこそ『This Is Boston Not L.A.』。現在は入手困難なアイテムとなっているので、ぜひともリイシューしてほしいところ。80年代中盤~後半になるとスラップショットや、後にポップ・フィールドで成功を収めるレモンヘッズなどが活躍するも、シーンはこぞってメタル・サウンドへ転換。さらに90年代にかけてはディープ・ウォウンドから派生したダイナソーJrやピクシーズなどオルタナ・バンドの台頭により、一時期ボストンのハードコア・ムーヴメントは落ち着いたかのように見えていたが、中盤以降には80年代からの真摯な精神を受け継ぐベーン、テン・ヤード・ファイト、フロアーパンチ、リーチ・ザ・スカイ、ギヴ・アップ・ザ・ゴーストなど、素晴らしいバンドが続出。さらにケイヴ・インやアイシスなど、ハードコア魂はそのままに幅広い音楽性を持ったバンドも新たなシーンを築きはじめた。なにはともあれ20年以上という月日の間、ボストンの中でハードコア・スピリットはずっと呼吸をし続けているのだ。
▼文中に登場するバンドの作品を一部紹介。
SSD『Power』(Taang!)
FU'S『Do We Really Want To Hurt You』(Restless)
ギャング・グリーン『Preschool』(Taang!)
レモンヘッズ『Hate Your Friends』(Taang!)
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