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インタビュー

Roni Size(2)

ブリストルという環境

 さて、今回のアルバムでは、陣容など目に見える変化に加え──一聴すればすぐにわかると思うが──エレクトロニックな部分が強調された音の質感にも驚かされる。もともとテクノロジーを大いに利用している音楽だが、至るところでビキビキと唸りを上げるそのサウンドは、スピーカーから空気の振動を伝って身体が感電するんじゃないかと思えてくるほど。

「そのとおりさ! 〈Return To V〉ということはそういうことなんだ。オーガニックなドラムンベースはたくさんあるけど、俺の思うVはオーガニックなイメージよりテクノロジーを最大限に活かしたドラムンベース・レーベルなんだ。ダブル・ベースも生楽器もなし。確かにレプラゼントの時はオーガニックなイメージも強いかもしれないけど、『Return To V』とアルバム・タイトルを付けるのなら、こうでなきゃ意味がないのさ」。

 しかしまあ、これだけ長い間ドラムンベースのシーンに携わっているにも関わらず、ロニの作品からは常に緊張感や刺激が発せられ、マンネリ化することなく、作品を重ねるごとに最新モードにアップデートされている。このインタヴューでの発言を拾っていくと、ことあるごとに〈俺たち〉と仲間を意識した言い回しが出てくるのに気付くだろうが、彼が第一線に居続けられる秘密はそのあたりにもありそうだ。

「俺の場合はブリストルという環境が凄く大事なんだと思う。俺の周りにはダイナマイトをはじめ、ダイやクラストといった本当に仲の良い友達がいっぱいいるんだ。だから何かあったら彼らに相談する。そしてブリストルには〈メイビー〉なんて存在しない。〈イエス〉か〈ノー〉。彼らに相談したらハッキリと意見を言ってくれる。フレッシュな物を作るのには必要不可欠だね」。

 強固な絆で結ばれているフル・サイクル・クルー。今回の作品を「レプラゼントと同様に大きなプロジェクトだよ」とロニが自信を持っていえるのもそんな仲間のサポートあってのことだろう。むろんこのアルバムはレプラゼントの傑作群にこれっぽっちも負けていないし、そのサウンドがより進化しているのも手に取るようにわかります!
 今後も当分の間、フル・サイクル・クルーの動向から目が離せそうにないですな、こりゃ。

▼『Return To V』に参加した外部アーティストの作品。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2004年10月28日 12:00

更新: 2004年10月28日 17:57

ソース: 『bounce』 259号(2004/10/25)

文/青木 正之