インタビュー

saigenjiといっしょにセウ・ジョルジの新作を聴いてみたよ!!

 新作『Cru』では、その激渋の歌声そのものにフォーカスを絞った音作りに徹したセウ・ジョルジ。ビジやマルセロD2の作品をはじめとした数えきれないほどのゲスト参加歴……。ん? 歌声の瞬発力がべらぼうにあって、各方面からの引っ張りダコ度もメチャ高くて、最近、歌心たっぷりの新作をリリースした人……って、日本にもいますよね、この人が! ということでラジカセを担いでsaigenjiのお宅を突撃訪問(ウソ)。セウ・ジョルジとほぼ同世代でなにかと共通点の多い彼と『Cru』を聴きながら、ミュージシャンならではの視点からその魅力を語ってもらいましょう。

「佇まいがカッコイイよね、映画を観てても華がある。彼のライヴDVD〈MTV Apresenta Seu Jorge〉でも、客席で踊っている人もいれば喋っている人もいて、いい感じのヴァイブスがある。まあ、ウチのお客さんも自由にやってるけどさ」。

 それじゃ、さっそく頭の“Tive Razao”から順番に聴いてみましょうか。

「いきなりスカスカだもんね。カヴァキーニョ(サンバ用の小型弦楽器)とペラペラのギターとパーカッションだけ。すごいなぁ、これでちゃんとファンクになってるもんな」。

 もうこれ、引き算の音楽ですよね。なのに、この音の厚み!

「そうだよね、引き算だよ。それもファンクなのにベースが入っていないという。おもしろいよね。で、また歌詞がすごくいいんだ。2曲目“Mania De Peitao”の歌詞も最高! 〈胸にシリコン入れて〉って、ナイス。でもホントこの曲はカッコイイし、楽器の入り方も新しい。でさ、これはポルトガル語だからいいんだけど、日本語で歌ったらすごくカッコ悪いじゃんね(笑)。お、3曲目もかなりヤバいね」。

 セルジュ・ゲンスブール“Chatterton”のカヴァーですね。……ところで、こういう音の質感っていうのはミックス次第で変わるものなんですか?

「ミックスも大事だけど、たぶん録り音がいいんじゃないかな。すごく有機的に音が絡まってる感じがする。こういうアルバムっていいよね。なにも足さなくても、声そのものに味があるもん。しかも、俳優をやっているだけあってキャラの使い分けが上手い。音楽だけをやってる人じゃない感覚がある。もしも対バンできるなら、いっしょにやりたいなぁ。ぜひとも共演してみたいね!」。

saigenji
  南米のフォルクローレやブラジル音楽を中心に、ソウルやジャズなども吸収した幅広い音楽性で注目を集めるギタリスト/ヴォイス・パフォーマー/ソングライター。ジャケは、スティーヴィー・ワンダー“Golden Lady”のカヴァーも話題となった最新作『Innocencia』(Long Happiness/Happiness)。そのほかの最新saigenji情報は、オフィシャル・サイトでチェック!!

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2005年03月17日 12:00

更新: 2005年03月17日 15:46

ソース: 『bounce』 262号(2005/2/25)

文/佐々木 俊広