Black Eyed Peas
未曾有の大ヒットを記録した『Elephunk』から2年、4人組として立ち位置を固めたブラック・アイド・ピーズが帰ってきたぜ!! 想像力と創造力を自由に遊ばせた圧倒的な新作……〈象〉に続いて、今度は〈猿〉ですって!?
これがファースト・アルバム!?
まさか4人になるとは思ってなかったし、あんなにブレイクするなんて予想もできなかった。そのように、いつだってどう出てくるか読めないブラック・アイド・ピーズ(以下BEP)だけれど、2年ぶりのニュー・アルバム『Monkey Business』はこちらの予想を軽く超えてきやがった。それは、先行シングル“Don't Phunk With My Heart”の緩急を弁えた疾走感だとか、そういう個別のあれこれによるものでもない。何もかもが目まぐるしくて、俊敏で、とにかくスリリングなのだ。『Elephunk』という特大ヒットによって存在感を肥大させた彼らは、モンスターとしてこの2年をどう過ごしてきたのかね?
「ロンドンに3か月も滞在したことが大きかったね。レコーディングをしながら、毎週末ヨーロッパのいろんな国に飛んで、時には何万人もの観衆の前でショウをやってさ。ウィークデイはまたロンドンに戻ってレコーディングして……そういった経験からいろいろインスピレーションを得たね」。
そう語るのはリーダー的存在のウィル・アイ・アム(以下同)。慌ただしい日々のなかでも彼らは結束を深めつつレコーディングに取り組んできたってことか。その結果か、『Elephunk』に感じられなくもなかった〈3人組のBEP+ファーギー〉的な図式が、新作では払拭されている。つまり、彼らは改めて〈4人組のBEP〉としてスタートを切ったと言えるだろう。
「そのとおりだね。『Elephunk』はファーギーが加わる前に完成していたんだよ。出来上がった後にまたスタジオに戻って〈どの部分に彼女のパートを加える?〉って話し合いをしたくらいなんだ。例えば、〈“Where Is The Love”ではどうする?〉……ってことになって、〈Where Is The Love~♪〉ってフレーズにフィーチャーしただけだったりね。でも、今回のアルバムでは、作曲やレコーディングの行程に彼女も深く関わっているし、キミの言ってることは正しいよ」。
別の角度から見ると、前作でのポップな方向転換が、決してファーギーの加入によってもたらされたものではなかったということになるわな。そのへんの舵取りもウィルが行ったように思えるのだが、「アップルダップもタブーもそれぞれインプットがあるから、そういうふうには見られたくないな」とのこと。とはいえ、BEP作品とソロ活動時の作り分けについて「BEPの作品はあつらえたスーツみたいなもので、腕を広げた時に破けても困るし……いろいろ慎重に仕立てるんだ。ソロ作はキツくてもダボダボでもOKで、破けても〈こんなふうに破れちまったよ!〉って笑い飛ばせるような感じの服だね」と話しているように、プロデューシングにおける多くの割合をウィルが負っているのは間違いないんだけど。
DICK DALE & HIS DEL-TONES 『The Best Of Dick Dale & His Del-Tones』 Rhino アルバムのド頭からサーフ・ギターの殺し屋が63年に放った“Misirlou”をベタ敷き。「パルプ・フィクション」と「出没!アド街ック天国」のどっちを連想しました?
LISA LISA & CULT JAM 『Lisa Lisa & Cult Jam With Full Force』 Columbia(1985)“Don't Phunk With My Heart”では、フル・フォースが送り出したトリオの“I Wonder If I Take You Home”からフックを借用して、そのまま歌メロに転用。
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