Black Eyed Peas(2)
ヒップホップ版ボリウッド!?
内実がどうあれ、常に新作をキッチリ〈新しい作品〉に仕上げてくる彼らのクリエイティヴィティーとヴァイタリティーには恐れ入る。今回のテーマは〈ヒップホップ版ボリウッド(インド映画)〉ということで、前述した“Don't Phunk With My Heart”のようにエスニックなフレーズが使用されている具体例もあるし、もっと広く〈折衷的なゴッタ煮〉という意味でボリウッドを引き合いに出しているフシもある。
「そうだね。アルバム全体はまるでいろんな人種や国の生徒たちが集まった全寮制の学校のようなものだ。さまざまな音楽的影響を受けているという点でね」。
果たして、彼らが用意したボリウッド映画はシナリオの面でもキャスティングの面でも、まさしくゴッタ煮な作品となった。その象徴となるのが、凄まじい〈つかみ〉となるオープニング曲“Pump It”だろう。ディック・デイル(&ヒズ・デル・トーンズ)の“Misirlou”を使うなんて反則の極みだけど、そんな反則をするヤツはいないもんな。
「ブラジルから日本に来て、新幹線に乗っててね。ブラジルで買ったボサノヴァのCDをいざ聴こうと開封したら、なぜか中身がディックのCDだったんだ。でも、俺はずっと彼の曲が好きだったから、サンプリングしたりして遊んでみることにしたのさ。新幹線の中でね。それを帰国後に弾き直したんだ」。
ネタ選びのおもしろさはもちろん、助演者たちもエラく豪華。〈MOJOアワード〉の授賞式で話しかけたことをきっかけに実現したという、ジェイムズ・ブラウンの客演曲“They Don't Want Music”なんて曲まである。
「JBとスタジオで作業してる時に、(JBの物真似で)〈コラボとかはやらないのさ。俺にそんな必要はないからな。でもBEPといっしょにやれって何かが言ってる気がしてな!〉ってね。最高の経験をしたよ。彼はJBそのもののイイ人だった。例えば、〈ブラウンさん、いっしょに写真を撮ってもらえますか?〉と頼まれたら〈ノー・プロブレム!〉と言って手をパンパンと叩くと、取り巻きが彼のヘアスタイルを整えにくるんだ(笑)。まさに〈JB〉だよね」。
また、それ以上のハマリ具合を見せるジャック・ジョンソンとの“Gone Going”も話題になるだろう。同曲は2001年に完成していたそうで。
「マロイ兄弟から〈クールボーダー〉のサントラに参加を依頼されて、その時にエメット(・マロイ)から〈僕はジャック・ジョンソンっていうヤツのマネージャーもやってるんだけど、彼はBEPの曲をアコギで演奏するんだ〉って聞いてね。しかも、俺が大好きなG・ラヴの“Rodeo Clowns”を書いたヤツだと知って、〈そんなヤツと共演できたらドープだね!〉ってことで……俺のスタジオでジャックと曲を書いた。“Where Is The Love”の2日後に録った特別な曲なんだ」。
JUSTIN TIMBERLAKE 『Justified』 Jive(2002) ティンバランド制作の“My Style”で2度目の共演。前回共演した“Where Is The Love”ではフックをほとんど全部歌ってたのに、ファーギーが歌ってると勘違いされて可哀想でした……。
JACK JOHNSON 『In Between Dreams』 Brushfire/Universal(2005) 実質的にウィルとジャックの2人で作り上げたのが“Gone Going”。ジャックは共演以前からライヴでBEPの“Fallin Up”を演奏していたそうで、そっちも聴きたいね。
JAMES BROWN 『Make It Funky : The Big Payback 1971-1975』 Polydor 帝王を迎えた“They Don't Want Music”はナイス&スムース“Let's Make It Funky”ネタ。つまりはネタの孫引きですが、それ以前にJBが他人の作品に参加することが奇跡!?
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