こんにちは、ゲスト

ショッピングカート

インタビュー

ここはR&B番外地……監獄ソウルあれこれ

 エイコンの前作『Trouble』からの“Locked Up”が服役囚を鼓舞した曲だったのは、かつて彼自身がさまざまなトラブルを起こして刑務所に出入りしていた元・服役囚だったからでもある。そんなエイコンと同じ頃に登場したライフ・ジェニングスもまたデビュー前に放火の罪で10年間を塀の中で過ごした前科者で、彼は刑務所時代の囚人番号を表題にした『Lyfe 268-192』で過去の過ちなどを切々と吐露していた。こうした前科アリなR&B/ソウル・アクトは他にもいて、あのチコ・デバージも麻薬の不法所持が原因で5年余り服役し、監獄の開錠音でスタートする『Long Time No See』で97年に復帰。またUK音楽界のお騒がせ男、マーク・モリソンも傷害事件などで何度か服役しており、プロモ・クリップではその暴れん坊ぶりを再現していた。服役経験をネタにするなんてさすが欧米(!?)という感じだが、70年代初頭にはエスコーツという服役中の囚人コーラス・グループが、モーメンツの女囚刑務所慰問ライヴも手掛けた名匠ジョージ・カーの下で獄中録音を行い、世に大きな衝撃を与えている。また故リック・ジェイムスやジェイムズ・ブラウンも暴行事件などで何度かの服役経験があるが、彼らの場合はそれも芸の肥やしと言わんばかりだ。最近ではシェリーファに犯罪歴があったとか、他にもムショ暮らしと背中合わせの大物も少なくないが、当然ながらそんな犯罪歴は美化すべきものではなく、彼らの歌から〈正しい道〉を探るのがわれわれの使命というものだろう。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2006年12月14日 21:00

更新: 2006年12月21日 23:25

ソース: 『bounce』 282号(2006/11/25)

文/林 剛

記事ナビ