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インタビュー

SOIL & "PIMP" SESSIONS

爆音で繰り出される〈踊るためのジャズ〉を武器に世界中のダンスフロアをロックしてきた荒くれ者たちが、パーティーを彩るニュー・アルバムを引っ提げて凱旋したぞ!!


 2005年末にUKのBBCラジオ1が主催する〈ワールドワイド・ミュージック・アワーズ〉で〈ジョン・ピール“プレイ・モア・ジャズ”〉賞を獲得。国内外の追い風を受けて昨年リリースされたアルバム『PIMP OF THE YEAR』で、今度は日本のロック・ファンをも巻き込んで、大型フェスの常連バンドに成長したSOIL &“PIMP”SESSIONSが、ニュー・アルバム『PIMPOINT』をリリースする。

「コンセプトを考えて作ってはいないけど、出来てみて〈パーティー用のアルバムだな〉って。これまでになく〈楽しむための一枚〉になっていると思う」(社長、アジテーター:以下同)。

 リズム隊~ピアノ~ホーンと、徐々に音が重なる展開がメンバーの登場シーンを思わせる、ハード・バピッシュな“DAWN”で幕を開ける本作。ロックをはじめ多種多様な音楽を吸収した破壊力満点の楽曲たちを詰め込んだ前作のムードを踏襲しつつも、今作ではいつになく練り込まれた楽曲の構成、そしてアレンジの妙が特に印象的だ。

「前作には、各メンバーがある程度の骨格まで作った曲が多かったんだけど、今回はアレンジとか構成をみんなでブラッシュアップしていった曲が多いかもしれない」。

 ジャズ・ロックな前半から一転、元晴のサックスが咆哮を上げる変拍子に展開する“A.I.E”や、タブゾンビ(トランペット)のペンによる2部構成の“マクロケ”“マシロケ”で聴かせるコントラスト、そして中盤からドラムが一気に加速するフレディ・ハバード“Red Clay”のカヴァーなどが良い例だろう。

「“マクロケ”はファンキーでいまっぽく、“マシロケ”はよりビッグバンド的に……と、時間軸での対比も考えて。“Red Clay”は昔から好きな曲だけど、ジャイルズ(・ピーターソン)のコンピ〈BBC Sessions〉でドゥウェレがカヴァーしているのを聴いて、〈あ、そういえばまだ“Red Clay”やってなかったな〉って思い出した。このカヴァーも、あらかじめアレンジは決めずに大まかなアウトラインだけを作って。倍速になるドラムとかも、セッションしながらいきなり出てきたんだ。何も決めずに原曲をさらっていくと、みどりん(ドラムス)が仕掛けて……。で、〈それ、いいね!〉となる」。

 ここ数年のバンドの成長を真空パックした本作が、結果的に〈パーティー感〉という結成当初のコンセプトに立ち戻ったところにもバンドのブレのなさが表れているし、だからこそ本作には〈これぞSOILの音〉と言うべきサウンドが詰まっているのだ。

「ジャズは堅っ苦しいものではなくて、みんなが踊って楽しむための音楽であるということ。SOILとは〈身体を使って音を出しているバンドである〉ということ。普通のジャズよりだいぶ激しくて、だいぶ音量も大きい……そういうジャズもあるんだよ、ってね。で、SOILはライヴがモットーだから、〈パーティーの主役であるお客さんがいかに楽しめるか〉ということを常に考えながら音を出しているんだ」。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年03月08日 15:00

更新: 2007年03月08日 19:24

ソース: 『bounce』 284号(2007/2/25)

文/牛島 絢也

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