インタビュー

北欧の最強ポップ職人集団、スターゲイトはまろやかに世界を包む

 ニーヨの“So Sick”を初めて聴いた時、当世のR&Bにしては素直な曲展開に〈ボーイズ・バンドの曲?〉と思ったのだが、その仕掛け人がスターゲイトだと知って合点がいったものだ。たまに〈新進〉とかいう記述も目にするけど、ミッケルS・エリクセンとトール・エリック・ヘルマンセンから成るスターゲイトは、90年代からユーロ・ハウスなどを制作してきたノルウェーのプロデュース集団である(当初は3人組)。Sクラブ7とファイヴを手掛けた99年からUK産アイドルやアーバン・ポップ仕事を増やしはじめた彼らは、ブルーの“All Rise”や“One Love”、ミスティークの“One Night Stand”、ロミオの“It's All Gravy”、他にもサマンサ・マンバやアトミック・キトゥンらの楽曲を次々にヒットさせていく。それと並行してビーニ・マンやデズリーを手掛け、リアーナ“Let Me”を手掛けた2005年からは本格的にUS進出。通ぶったリスナーにはベタだとされがちな経歴だが、そこから得たまろやかなポップ感覚がニーヨのヒットを生んだ一因であることは間違いない。以降はニーヨとの絡み(別掲)以外にジェシカ・シンプソンやジョジョ、そしてナズという幅広さでプロデュースを展開。特にライオネル・リッチー“I Call It Love”は〈“So Sick”に激似〉と話題になった。エリオット・ヤミンの名曲“Wait For You”を手掛け、ジョーの新作に参加……と今年もフル稼働中の彼らから目が離せない。

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掲載: 2007年05月17日 21:00

ソース: 『bounce』 286号(2007/4/25)

文/出嶌 孝次