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インタビュー

マルーン・サウンドのルーツを勝手に分析してみました!

 マルーン5は影響を受けたアーティストに対する言及が少ないので、本稿は多聞な推測を交えた〈仮想ルーツ探求コラム〉としてお読みいただきたい。まずは彼らの口から語られた数少ないルーツ的バンド、ビートルズ。楽曲へのダイレクトな影響というよりはポップ・アイコンとしての憧憬的存在か。なお、今夏リリースされる予定のトリビュート盤にマルーン5も参加しているとのことなので、そちらも期待したい。

 サウンド面での源流としては70年代のニュー・ソウル、とりわけステーヴィー・ワンダーとカーティス・メイフィールドのインフルエンスが強い。キャッチーな楽曲センスはスティーヴィー、ファルセット多用のヴォーカルはカーティス・ライク。となると、その両要素を併せ持ちつつさらにロックのダイナミズムを加味したプリンスの音楽性は、マルーン・サウンドの雛型のように思えなくもない。また、ニュー・ソウルやジャズ・ファンクをDJ的な並列感覚で現代に蘇生させたジャミロクワイという先達の存在も大きいだろう。白人流ソウル=ブルーアイド・ソウルとしてのソフィスティケートされた洒脱な感性はシンプリー・レッドに通じるものがあり、個人的にももっとも近似性を感じるのだが、いかがなものか。最後に新作で顕著なディスコへのアプローチでは、ケイシー&フィンチの白人コンビによるポップ・センスが炸裂したKCアンド・ザ・サンシャイン・バンドの(良い意味での)下世話さを継承している気もする。
▼関連盤を紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年05月31日 14:00

更新: 2007年05月31日 18:57

ソース: 『bounce』 287号(2007/5/25)

文/北爪 啓之