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インタビュー

チャットモンチー(2)

上京してからの〈生命力〉

“シャングリラ”をはじめ、今年に入ってからの3枚のシングルも含めてこのアルバムに収録された曲たちは、曲調はどれも違うがアレンジにおける意外性やドラマティックな展開性、そして歌詞とメロディーのキャッチーさもファースト・アルバム『耳鳴り』に比べて格段に強くなっている。

「徳島にいるときとは違って、デビューしてからの作り方はそれぞれ瞬発力が身に付いたというか、柔軟になってきています。やりたいことと、カッコいいことっていうのがハッキリしてきた」(福岡)。

「徳島にいると時間の経ち方がまったく違うので、耳にするものとか目に映るものの速さが東京ではだいぶ違うぶん、曲ができる。なんて言ったらいいんかいな……速い流れの中で作っている感じがして、もっともっとみたいな感じになっていって。時間をかけてゆっくりじゃなくなったのはすごく大きいと思います」(橋本)。

 上京して1年とちょっと。生活のみならず、バンドを取り囲む環境も激変した状況のなかから生まれた、特別な強度を持つ曲だけが詰まった今作のタイトルにはどんな意味があるのだろうか。

「曲が全部出来上がって、順番も決まって、それを何回も繰り返し聴いててすごく〈生命力〉を感じたので。東京へ来て、ここで過ごしていくのに3人必死になってて、音楽に対してもお客さんに対しても、もっともっとできるとか、もっとこうしたいとかっていうのも徳島にいるときより増えて。そういうのは生命力があることなんじゃないかと思うし……〈なんとか力〉っていうのがいいなって思ったんです」(橋本)。

〈曲はどんどん書けるの?〉という質問に、「はい、詞があれば。詞をもらって、メロディーを付けてるときはいちばん好き勝手な時間なので楽しいし、作ってるときのほうが充実していて安心できる。みんなでやってるときはみんなでやっていて、また別のところで1人で〈次の曲を次の曲を〉ってやってるのは、安定している感じがします」(橋本)と答える、可愛い歌声と抜群の歌唱力と類い希なるソングライティング能力を併せ持つリーダーがいるっていうことも、チャットモンチーの大きな魅力のひとつだと最後に付け加えておこう。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年11月01日 21:00

ソース: 『bounce』 292号(2007/10/25)

文/ダイサク・ジョビン