インタビュー

音盤で辿るアリシア・キーズの10年史 その2

10. NAS 『God's Son』 Ill Will/Columbia(2002)
勇ましい“Warrior Song”をプロデュースし、ヴォーカルも披露。突き放したような歌い口と硬質なピアノの響きを伴うことで、ナズのシリアスなラップも説得力を増している。この1年後には“Streets Of New York”で再共演することに。
(池谷)

11. ALICIA KEYS 『The Diary Of Alicia Keys』 J(2003)
カニエ・ウェストによる“You Don't My Name”をはじめ、瑞々しくスウィートなソウル感が横溢しまくった大傑作セカンド・アルバム。黒人音楽の文脈に則りながらも普遍性を増した内容で、前作以上の成功を収めることとなった。
(池谷)

12. USHER 『Confessions -Special Edition』 LaFace/Jive(2004)
ジャーメイン・デュプリ制作の全米No.1ヒット“My Boo”で甘くデュエット。アリシアの軽やかなラップもさることながら、アッシャーとイチャイチャしやがる様子も含めて可愛すぎる姿が拝めるプロモ・クリップも必見。
(池谷)

13. VARIOUS ARTISTS 『So Amazing : An All-Star Tribute To Luther Vandross』 J(2005)
レーベルメイトでもあったルーサー・ヴァンドロスの没後に登場したトリビュート盤。故人とシェリル・リンのデュエットで名高い“If This World Were Mine”を熱のこもった歌いぶりでカヴァー。お相手のジャーメイン・ポールはアンプラグド盤でもバック・コーラスを務めたシンガーだ。
(池谷)

14. RAY CHARLES 『Genius & Friends』 Atlantic/Rhino(2005)
巨人の没後トリビュート作のラストを、〈第2のアメリカ国歌〉とも称される“America The Beautiful”の疑似共演で壮大に飾る。ディーヴァ然とした力強い歌い上げが素晴らしい。
(池谷)

15. ALICIA 『KEYS Unplugged』 J(2005)
彼女のために復活した、MTVの人気番組におけるライヴの模様を収めた一枚。ヒット曲に新曲やカヴァーを織り交ぜ、悠々とくつろいだ様子のパフォーマンスは自信と才能に満ち溢れている。モス・デフやダミアン・マーリーらゲスト陣も豪華だ。
(池谷)

16. CHAM 『Ghetto Story』 VP/Atlantic(2006)
ダンスホール・ヒット“Ghetto Story Chapter 2”に客演。3つ打ちのダンスホール・トラックを、完璧なレゲエ・マナーのフロウで器用に乗りこなすアリシアのスキルとカッコ良さに感嘆しきり。
(池谷)

17. GLORY ROAD 『Soundtrack』 Hollywood(2006)
初期NBAで苦闘した黒人選手たちの物語という映画の主題に合わせて、ゴスペル~ソウルの名曲が並んだサントラ。アリシア絡みの3曲のみ新録で、ライフ・ジェニングスとのインプレッションズ曲、ゴスペル古典のカヴァー、クワイアを従えたトレヴァー・ラビン制作曲……と異色の形で彼女の本質的な部分が露わにされる必聴作だ。
(出嶌)

18. ANGELIQUE 『KIDJO Djin Djin』 EMI France(2007)
R&B味も濃いベナン出身のシンガーによる最新作。アリシアはサックス奏者のブランフォード・マルサリスと共に参加。アフリカン・ポップスらしい大陸的なムードも漂うなか、哀感に溢れたメロウ・ナンバーの美しさを際立たせる。
(池谷)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2007年12月13日 21:00

ソース: 『bounce』 293号(2007/11/25)

文/池谷 昌之、出嶌 孝次