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インタビュー

BOW WOW & OMARION(2)

互いの限界に挑戦した

 もっとも、漠然とした青写真は最初の〈スクリーム・ツアー〉(2001年)の頃からあったらしい。そして、実際のアルバム制作に取り掛かったのは2007年の夏頃だったそうだ。LAに飛んで2日で4曲を仕上げたというエピソードからも、彼らの息の合った様子が窺えるだろう。そんななかから生まれてきたのがスウィートな先行カット“Girlfriend”で、“Let Me Hold You”の続編的な、長年の友好関係から生じた一体感を感じさせる一曲だ。

「俺とOがやる曲だから当然レディース向けだよ。〈オマリオンやバウ・ワウがハズバンドだったらいいのに〉っていう彼女たちの夢を叶えてあげる曲にしたわけ。俺とOの正直な心を伝えたつもりだよ。ファンのみんなはそういうものを俺たちに求めているわけだし、そういう要望どおりのものを与えたいって思ったんだ」(バウ・ワウ)。

 ちなみに、ふたりの好みの女性のタイプは結構似ているらしい、とかいうハナシは置いておいて……先の言葉どおり、今作はそんな女性陣に向けられたトラックが中心となっている。プロデューサー陣には、スムースな“He Ain't Gotta Know”を手掛けたT・ペインをはじめ、セカンド・シングル“Hey Baby(Jump Off)”でのソウル・ディガズ、R・ケリー&アッシャーの“Same Girl”を手掛けたリル・ロニー、プリティ・リッキー仕事などで知られるマイアミのジム・ジョンシンらが名を連ね、ドリームやマーカス・ヒューストンもソングライティングに関わっている。さらには馴染みのLT・ハットンやルーファス・ブラックらも参加し、結果として主役であるふたりの個性を浮き立たせ、融合させることに成功している。

「今作はハイエナジーだし、リリックにしてもレヴェルアップしてるからね。バウがこんなふうにスピットするのって、聴いたことないはずだよ。俺だって歌い方を変えたりしていて、これまでみたいなクルーナー・タイプの歌唱とは違う、歌とラップを混ぜたようなスタイルを試したり、新しいことに挑戦してるんだ。ヴォーカル・レッスンも受けたりして、お互いが自分の限界に挑戦したって感じだね。まさに『Face Off』さ」(オマリオン)。

 今作を作り上げて、お互いをよりリスペクトするようになったというふたり。今後はそれぞれ数本の映画出演が決まっているそうで、バウ・ワウは自身のレーベル=LBWの運営やソロでのニュー・アルバム制作も予定しているとのこと。オマリオンもそんなバウに刺激されてか、自身のレーベルやダンス・アカデミーなどといったビジネス面にも積極的に手を伸ばしていきたいと語る。「オレがホットなアーティストを見つけたとしたらバウに連絡すると思う」なんて、微笑ましいではないか。ファンとしては、このタッグによるツアーや第2弾アルバムの制作もスケジュールに入れ込んでほしいところだが……いずれにせよ、しばらくはこの『Face Off』でスクリームさせられっぱなし!!になるのは確実だ。
▼『Face Off』に参加したアーティストの作品を一部紹介。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年01月17日 18:00

ソース: 『bounce』 294号(2007/12/25)

文/佐藤 ともえ