バウ・ワウがフェイス・オフするまで
過去にも何人かのキッズ・ラッパーが現れたものだが、変声期を挿みながらここまで生き残っている人は稀だろう。オマリオンいわく「人の言うことを聞かないし、パーティーとか女の子が好きで……だけど、物事を判断する時には凄くクレヴァーな奴だ」というバウ・ワウ。87年生まれで、出身はオハイオ。スヌープ・ドッグがツアーで同地を訪れた際、客席にいた5~6歳の子供をステージに上げて……という話もよく知られているが、後見人となったのはクリス・クロスやアッシャーら少年たちとの絡みで成果を上げていたジャーメイン・デュプリだ。99年にサントラ『Wild Wild West』収録の“Stick Up”でリル・バウ・ワウとしてお目見えを果たし、2003年よりバウ・ワウに改名。俳優としては「ロール・バウンス」などに主演し、「ワイルドスピード×3 TOKYO DRIFT」などにも出演している。その「ロール・バウンス」で共演した人気俳優のクレオ・トーマスを自身の主宰レーベル=LBWで契約するなど、ブラック・ヤングスターの兄貴分的な存在にもなりつつある。ただ、交際時にシアラを激怒させた生活態度の乱れは相変わらずのようだ。
LIL BOW WOW 『Beware Of Dog』 So So Def/Columbia(2000)
13歳で発表したファースト・アルバム。エクスケイプやジャギド・エッジらに加え、スヌープおじさんもゲストで登場。デュプリのオトナ仕様なビートが逆にキュートな幼さを掻き立てる。
LIL BOW WOW 『Doggy Bag』 So So Def/Columbia(2001)
ネプチューンズの起用も光る2作目。自作のリリックが1曲で採用され、フロウの成長も著しいものの、まだ似合うのはニュー・エディション“Candy Girl”をネタ使いした“All I Know”などのキッズ路線だ。
LIKE MIKE 『Soundtrack』 So So Def/Columbia(2002)
主演したバスケ映画のサントラ。生まれる前にヒットしたカーティス・ブロウ“Basketball”のカヴァーなど4曲に登場してちびっ子ぶりを発揮している。デビュー直後のB2Kも参加したニアミス盤だ。
BOW WOW 『Unleashed』 Columbia(2003)
デュプリから〈解放〉され、声変わりも経ての独立作。ベイビーやリル・ジョンなど悪いオトナとのエグい南部サウンドを披露し、マリオとの絡みでヤング・アーバン共演路線も開始している。大人ぶるのもガキの特権か。
BOW WOW 『Wanted』 Columbia(2005)
再度デュプリと手を組んだ特大ヒット作。オマリオンとの“Let Me Hold You”が収録されているほか、シアラとスウィートに絡んだ“Like You”も素晴らしい出来だ。“B.O.W.”では片腕のリル・ロニーと組んで初のセルフ・プロデュースにも挑戦!
BOW WOW 『The Price Of Fame』 Columbia(2006)
クリス・ブラウンを迎えた男子コラボ第3弾“Shortie Like Mine”を看板に、前作の路線を踏襲した5作目。R・ケリーとコラボった隠しトラックの“I'm A Flirt”は、R氏がバウ抜きのリミックスを大ヒットさせるという屈辱的な事態に……。
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