インタビュー

JANET

こんなにフレッシュで大胆でセクシャルな彼女を見るのは、いつ以来のことだろう? その名を呼ぶにはもうファーストネームだけで十分……ジャネット、やっと逢えたね!

簡単に作れちゃったの


  NYのトランプ・ホテルで対面したジャネットは、まるで休暇を楽しんでいるかのようにリラックスした笑顔で迎えてくれた。「そうなの、このアルバムはとても簡単に作れちゃったの」と、こぼれるような笑みが眩しい彼女。とても41歳とは思えない。前作『20 Y.O.』でグランド・ブレイキングとなった出世作『Control』(86年)からの20年を締め括ったジャネットは、このたびの通算10枚目となるオリジナル・アルバム『Discipline』を発表するにあたって、まるで新たな門出に立っているかのようにフレッシュな気分で満ち溢れている。『20 Y.O.』のプロモーションで来日した一昨年とは大違い。あの時は、来日記者会見が行われたほんの数十時間前に、彼女の恋人であり、前作のプロデュースで大いに手腕を発揮していたジャーメイン・デュプリが、彼女の所属レーベルであるヴァージンのアーバン部門のヘッドを突然辞任、いや解任か?というゴタゴタが起こったばかりという状況だった。

「長く在籍したヴァージンの悪口を言うつもりは毛頭ないけれど、いっしょにやってきたスタッフのほとんどはもうレーベルを去ってしまっていたし、最初の頃はすごくファミリーみたいな感じで心が通じ合っていたのに、最後のほうはもうそういう関係ではなかったの。特に『20 Y.O.』ではアーバン部門以外のサポートが得られなかったし、私はあのアルバムでヴァージンとの契約が最後だったから、移籍しようと考えていたの」。

そして今回、ジャーメインがヘッドを務めるアイランド・デフ・ジャムへと移籍したジャネット。だが、移籍の理由はジャーメインからの推薦ではなく、長年親交を温めていたLA・リードからの説得だったという。いまやユニバーサル・ミュージックの会長であるLA・リードは、まるで自身のライフワークであるかのようにこのアルバムに肩入れしている。ジャネットに〈ツアーを先延ばしにして、まずはアルバムを作ろう〉と説得したのも彼なら、ジャネット史上初ともいえる大胆なコンセプトを推進したのも、どうやらこの人のようだった。
▼ジャネット(・ジャクソン)のアルバムを一部紹介。

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掲載: 2008年03月06日 18:00

ソース: 『bounce』 296号(2008/2/25)

文/村上 ひさし