インタビュー

スヌープ史上最高に音楽的な大傑作『Ego Trippin'』を楽しむための、9枚のサブテキスト

DJ QUIK 『Trauma』 Mad Science(2005)
滑らかなラップとスムースな生音サウンドで定評のある西海岸の名匠、DJクイック。この最新作ではロジャーに捧げたトークボクシングもメロウに披露。『Ego Trippin'』のほぼ全曲でミックスを担当し、柔らかくとろけるような音像構築に尽力している。

ROGER 『The Saga Continues...』 Warner Bros./Wounded Bird(1984)
各方面でフィルター・ヴォイスが再流行する昨今、スヌープも憧れた偉人の肉感的なトークボックス・プレイは必聴である。ザップ名義作も含めてすべて重要だが、ここでは最近リイシューされたソロ2作目を推薦しておく。

WILL.I.AM 『Songs About Girls』 Will.I.Am /Interscope(2007)
著名なゲストをほぼ排した今作において、スヌープだけが“The Donque Song”に客演している。先鋭的なダンス・ビートをヒップホップに落とし込むウィルの手腕は“Sexual Eruption”に臨むスヌープを大いに触発したはずだ。

GUY 『Guy』 Uptown/MCA(1988)
80'sファンクにヒップホップのビート心を加えたテディ・ライリーの音作りとアーロン・ホールの激唱で一時代を築いたトリオの初作。『Ego Trippin'』で腕を振るうテディが、チャーリー・ウィルソンをアーロン風に機能させた数曲はほとんど疑似ガイだ。

JOHNNY CASH 『At Folsom Prison』 Columbia(1968)
本文にもあるように、彼を意識した軽快な“My Medicine”は当初まさに“Johnny Cash”という曲名だったそう。スヌープが彼のどこに憧れるのか、この刑務所ライヴ盤で、アウトローがアウトローに歌うアウトローの歌を確認すべし。

MARVIN GAYE 『Let's Get It On』 Motown(1973)
『Doggystyle』でのカーティス使い以来、アルバムの冒頭でたびたびオールド・ソウル趣味を出してきたスヌープ。今回の『Ego Trippin'』ではマーヴィンの“Distant Lover”をベタ敷きし、ゆらりと翳った哀愁味を配色してみせている。

THE TIME 『The Time』 Warner Bros.(1981)
先だってのグラミー授賞式でもパフォーマンスしたミネアポリスのファンク・バンドで、プリンスの舎弟格だったのがこのタイム。スヌープが今回カヴァーした“Cool”など、分厚いシンセが醸し出す独特のダイナミズムを堪能できる一枚だ。

PRINCE PHILLIP MITCHELL 『Make It Good』 Atlantic/Rhino(1978)
プリンスはプリンスでも、こちらは滋味たっぷりな歌唱を披露する王子。最近リイシューされた本作からはカニエも別曲をサンプルしていたが、スヌープは“One Chance”にて表題曲をやるせなくネタ使いしている。

FEDERATION 『It's Whateva』 Southwest Federation/Reprise(2007)
今回の『Ego Trippin'』にて特に刺激的なのは、リック・ロック製のエグいハイフィー曲“Staxxx In My Jeans”だろう。彼とスヌープの好相性は、リックの肝煎りグループが本作で披露した“Happy I Met You”でも確認できる。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年04月03日 17:00

ソース: 『bounce』 297号(2008/3/25)

文/出嶌 孝次

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