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インタビュー

新感覚ミクスチャー!? 〈グルーヴ・ロック〉って何なのでしょう?

 bounceで勝手に〈御三家〉と呼んでいるriddim saunter、ala、UNCHAINが良質な作品を次々と発表したこともあってか、昨年あたりから頻繁に目(&耳)にするようになった〈グルーヴ・ロック〉というキーワード。ロックを触媒としてジャズ、ソウル、ファンク、ラテンなどのブラック~ワールド・ミュージックをスマートにミックスし、都会的かつフィジカルなバンド・サウンドに仕立てる彼らの最大の特徴は、その名のとおりフレッシュなグルーヴだ。パンクやエレクトロなどアグレッシヴな音楽性が表に出ている場合もあるが、耳触りはとにかく爽やか。ライヴで鍛え上げられた快楽性とピースフルな昂揚感が自然と五感を反応させるダンス・ミュージックとも言えるだろう。そんなグルーヴ・ロックの黎明期バンドとして捉えられるのは、FRONTIER BACKYARDやthe band apart(さらに遡ればalaがその影響を公言しているSCAFULL KING)だ。そこから近年は、含有成分もさまざまな個性溢れるフォロワーが続々と派生している。ここでは、それらの新世代バンドたちもまとめて一挙に紹介しよう。
(土田真弓)

asphalt frustration
メロコア×エレポップ? 2ビートのファストなドラムの上をキラキラの電子音が跳ね、スムースなメロディーが乗ったアンバランス感を完璧に聴かせる彼ら。初作『UNDO, PLAY』(P.O.S)はalaやriddim saunterらゲスト勢の名仕事も聴きもの。
(加藤)

riddim saunter
FRONTIER BACKYARDも所属するNiw!より2005年にデビュー。メンバー交代を経て昨年9月にリリースされた『Think, Lad & Lass』(Niw!)では、ゴー!チームやラリキン・ラヴに対する渋谷からの回答的な一面も見せつつ、ソウル~ヒップホップをDJ感覚でブレンドしたダンス・ロックを披露した。その後は別掲のour favorite fabとのスプリット盤や過去作のアコースティック・アレンジ盤、そしてこのたびリリースするKiiiiiii & DJ CodomoやAVALON、マティアス・テレスやソフトライツなど国内外の俊英によるリミックス盤『BRIGHTEN OURS FROM THE REMIXIES』(Niw!)などを立て続けに発表し、驚異的な創作意欲でわが道を邁進中。
(土田)

MJ-Classical
『Still Sequence』(AIRSPORT)でデビューした、〈御三家〉に続く逸材と謳われる彼らは、ネオアコからブルーアイド・ソウル、〈人力ジャスティス〉といった感じのクラブ・テイストまでを気持ち良くポップになびかせる。その器用な手捌きは見事。
(加藤)

our favorite fab
riddim saunterとのスプリット盤『LATETHINGS』(Niw!)で昨年お目見えした、男女ヴォーカルのハーモニーも麗しいファンキーな6人組。同作で聴けるほのぼのシンセに先導されたスペイシーなボッサ風の佳曲でいまや期待値No.1だ。早くアルバムを!
(加藤)

Fed Music
〈グルーヴ・ロック〉ならではの黒っぽさはこのなかにあって薄めだが、『I call your name』(Niw!)でのロックの攻撃性に北欧ポップスの透明感を溶かして生み出すグルーヴや昂揚は無視できない。riddim saunterが好きな人なら確実にヒットでしょ。
(加藤)

ala
2003年に結成された2MC+2サックスを擁する7人編成の彼らは、軽快なメロディーと美麗なハーモニー、ジャズやソウルを採り入れた躍動的なバンド・アンサンブルで風通しの良いパーティー・ミュージックを鳴らす。なかでも2006年12月に発表したファースト・フル・アルバム『Jam Of The Year』(FREEKOUT)は、〈グルーヴ・ロック〉という呼称を幅広いリスナーへ広める契機となった名盤中の名盤。その勢いは止まらず、今年1月に発表したミニ・アルバム『SEVEN COLORS SAUCE WITH YOU』(fluctus/avex trax)でメジャー進出を果たすも、翌2月にはMC両名の脱退に伴い、6月をもって活動休止することを発表した。残念……。
(土田)

SCAM-EIGHTS
レゲエからパンク、テクノまでを取り込んだ、ホーン隊を擁する6人組の最新作『THE THIRD VALUE』(HOPPING)は、alaにも通じるパーティー感を濃く出したスカ・ナンバーがイチ押し。躍動するリズムに身体がウズウズしちゃうこと間違いなし!
(加藤)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年04月10日 18:00

ソース: 『bounce』 297号(2008/3/25)

文/加藤 直子、土田 真弓

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