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インタビュー

UNCHAIN

日本のロック・シーンでジワジワとその勢力を広げている〈グルーヴ・ロック〉の真打ちが登場! 進化を止めない彼らのサウンドをUNCHAINしてみよう!

自分たちらしくロックする自信がついた


 横揺れのブルーアイド・ソウルと縦揺れのロックの幸せな出会い。と、言葉にしてしまうとあまりにも陳腐だが、京都は日本海側に位置する京丹後市出身の平均年齢25歳の4人組であるUNCHAINは、そんな一見ありふれたクロスオーヴァーに果てしない可能性とロマンティシズムを見い出し、そこに有り余るほどの情熱を注ぎ込む連中だ。その愚直なまでの横顔は、まるでひと頃のスタイル・カウンシル(ポール・ウェラー)やジャミロクワイあたりを連想させるほどで、「こういう音楽を好きになったのは専門学校に通うようになってから」と正直に告白する谷川正憲(ヴォーカル/ギター)のカッコつけたり背伸びをしたりしないところは、素直に讃えられて然るべきだろうとさえ思ってしまう。

「いまでこそブラック・ミュージックが好きですけど、高校の頃くらいまではメロコアとかばかり聴いていたんです。でも、ウチのベースの谷(浩彰)くんなんかはいまもそういうのが好き。今回のアルバムにはロック・チューンが結構入っているんで、彼の影響はかなりいいふうに出てると思います。ブラック・ミュージックの要素とロックっぽさを合わせるのがUNCHAINのコンセプトみたいなものなんで」(谷川)。

 彼らがステージで得意としている代表曲の多くはしなやかにグルーヴを転がしていくようなナンバーだが、一方でインディー時代の楽曲のリテイクや新録などを含むファースト・フル・アルバム『rapture』には、かなり前のめりなビート・チューンも多く含まれている。それも、両者を折衷するというより、その距離感をあえて楽しんでいるような印象を受けるほど、メーターが振り切れているのがいい。

「今回のアルバムは、結果としてソウルっぽい曲は思い切りソウルっぽく、ロック・チューンはロックっぽく仕上がりましたね。作り方自体はこれまでとまったく変わってないんですけど、一歩踏み込む勇気があったんだと思います。いままではロック・チューンをやることにちょっと恥ずかしさもあったんですよ。ロックすぎるとちょっとなあ、みたいな。若いうちは大人ぶりたかったのかもしれません(笑)。でも、きっと自信がついたんでしょうね。いまは自分たちらしくやれるようになりました」(谷川)。

「ジャンルっていうのが僕はよくわからないんですけど、わりと最近は素直になってきたかなって気がします。シンプルになってきたっていうか、余分なものがなくなってきてスッキリしてきたのかな?って感じますね。あまり〈○○っぽい曲にしよう〉とかってことを深く考えて曲を作ったりもしていないんですけど、それがかえっていいのかもしれないです」(佐藤将文、ギター)。

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年04月10日 18:00

ソース: 『bounce』 297号(2008/3/25)

文/岡村 詩野