インタビュー

ふたたびラップ・ロックが おもしろくなってきたぞ!! その1

 リンプ・ビズキットのヒットによって90年代終わり頃からすっかりメジャー化したミクスチャー・ロックは、バランス/テクニック(おまけにルックス)の整ったリンキン・パークというリーサル・ウェポンの登場により、彼らを凌駕する存在が現れず、結果勢いを失ったように思う。その後、フィッシュボーンや311ら音楽性を変えずにファン・ベースをキープしているヴェテラン勢や、スライトリー・ストゥーピッドなどのサブライム・チルドレン勢の活躍、ヨーロッパや東南アジアを中心とした根強いミクスチャー人気によって、その文化は地下社会で息づいていた。が、2007年に日本でも大ブレイクした〈1人リンキン〉ことマナフェストの登場によって、ラップ・ロック/ミクスチャーがふたたび表舞台で脚光を浴びているのだ。その勢いに拍車を掛けるだろう彼の新作リリースを機に、いまチェックしておきたい注目盤をここでは紹介しよう。
(宮原亜矢)

MELLOWTOY 『Nobody Gets Out Alive』 Bagana(2007)
リンプ・ビズキット直系のゴリゴリ&バキバキなサウンドと、声質の異なる2MCの掛け合いがスリリングな6人組。フォルダーやアディクション・クルーと共にイタリア・ミクスチャー・シーンの中核を担う存在だ。
(粟野)

TAGADA JONES 『Le Feu Aux poudres』 Enrage(2007)
フランス発の5人組による最新作。軽快なラップ・ロックというよりは、ハードコア色の強いフュージョン・メタルという表現が相応しい。早口で捲くし立てるヴォーカルはシステム・オブ・ア・ダウンに通じる部分もアリ!
(粟野)

(HED)PE 『Insomnia』 Suburban Noize/SUBURBAN NOIZE JAPAN(2007)
レーベル移籍した前作から息を吹き返しはじめていたジャレドの凶暴ヴォイスは、本作でさらに爆発。ヒップホップにセックス・ピストルズとスレイヤーをミックスさせたような、ファン快哉の一撃。
(宮原)

INSOLENCE 『Audio War』 Rodeostar(2007)
2000年代前半のシーンを牽引したカリフォルニアが誇るラガ・パンク・メタル・バンド。4年ぶりにリリースされた本作では、激しくも爽快なサウンドで健在ぶりを見せつけている。先日の日本ツアーも大成功に終わったばかり。
(粟野)

DANNY DIABLO 『Thugcore 4 Life』 Suburban Noize/SUBURBAN NOIZE JAPAN(2007)
クラウン・オブ・ソーンズなどの活動を通じてNYハードコア界を支えてきた彼が、元ハウス・オブ・ペインのダニー・ボーイらを召集してヒップホップにアプローチした一枚。ワルな出来だ。
(粟野)

SKINDRED 『Roots Rock Riot』 Atlantic(2008)
UKでミクスチャー・ロックを誰よりも早く鳴らしていた前身のダブ・ウォー時代と比べても、ベンジー・ウェッブの猛獣なマイク捌きは衰え知らず。南ウェールズの四十路が叩きつけるラガ・ハードコアはもはや神の領域!!
(宮原)

カテゴリ : インタビューファイル

掲載: 2008年05月29日 21:00

ソース: 『bounce』 299号(2008/5/25)

文/粟野 竜二、宮原 亜矢